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白井智之『死体の汁を啜れ』- 前代未聞の死体から始まる、新時代の本格ミステリ
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五条紀夫『町内会死者蘇生事件』- 殺したはずのクソジジイが、生きてラジオ体操に現れた朝【読書日記】
「誰だ! せっかく殺したクソジジイを生き返らせたのは!?」 ――これがこの物語の第一声であり、読者への宣戦布告でもある。 こんなにパンチの効いた書き出し、なかなかない。 五条紀夫の『町内会死者蘇生事件』は、タイトルも設定もぶっ飛んでる。そのくせ... -
松城明『可制御の殺人』- 人間をシステムと捉え、殺人を実行させる理系ミステリー
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『ラミア虐殺』- 伝説のミステリ、復刊!でもこの本、最後まで読めると思わないで
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芦花公園『漆黒の慕情』- 怪異も人間も恐ろしい、鳥肌必至のホラーミステリー
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吉田恭教『龍のはらわた』- 十九年前の一家惨殺事件に繋がっていた恐ろしい陰謀とは
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『ライルズ山荘の殺人』-『そして誰もいなくなった』へ愛を込めた、炎の山荘で起きた悲劇
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『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』- タイトルで全部バラしてるのに、こんなに面白いなんてズルい【読書日記】
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