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読書日記
『9人はなぜ殺される』- 静かな日常に、突然突きつけられる「死のリスト」【読書日記】
もし、ある日突然、自分の名前が「死のリスト」に載っていたらどうする? ピーター・スワンソン『9人はなぜ殺される』は、そんな悪夢のような設定から始まる物語だ。タイトルからして嫌な予感しかしないんだけど、内容はその想像を軽く飛び越えてきた。 物... -
国内ミステリー小説
逸木裕『五つの季節に探偵は』- 隠された本性を暴きたがる探偵の物語
女子高生のみどりは、父親が私立探偵だという理由で、クラスメートから何かと厄介事を頼まれている。 ある日いじめに悩んでいる怜に、英語教師の清田を調べ、弱みを握るよう依頼された。 いじめの主犯である好美が清田を慕っているらしく、清田を利用すれ... -
自作ショートショート
【自作ショートショートNo.73】『行列のできる男』
タカシは実に冴えない男だった。見た目も地味で、さっぱり印象に残らない。 当然のことながらモテるわけもなく、彼女もいなければ女友達もいない。それどころか同性の友達さえ数少ない。 おまけに何をするにも要領が悪く、仕事でもミスをしてばかり。上... -
読書日記
恒川光太郎20年目の異端作『ジャガー・ワールド』- 地獄の王国で、僕らは「生贄」だった【読書日記】
恒川光太郎と聞いてまず思い浮かぶのは、『夜市』のあの幻想的な切なさだとか、『秋の牢獄』の静かな異界感とか、そういう「短めだけど濃いやつ」だと思う。 私もそうだった。「恒川光太郎=短編」と、脳に刷り込まれていた。 だからだ。この『ジャガー・... -
国内ミステリー小説
小川哲『君のクイズ』- クイズプレイヤーの思考やテクニックを体験できる知的遊戯ミステリー
クイズプレイヤーの三島はクイズ番組「Q-1グランプリ」で決勝に進出し、タレントの本庄と戦うことになった。 決勝戦は一対一の早押しクイズ形式で、7問を先に正解した方が優勝となる。 三島も本庄も善戦し、順調にポイントを重ねたところ、終盤でなんと6対... -
ホラー小説
芦花公園『異端の祝祭』- カルト教団の不気味な背景に迫る新感覚ホラー
就職浪人生である島本笑美は失敗続きの毎日に疲れていた。 失敗の原因は自分でもよく分かっている、それは彼女の普通の人とは異なるとある点が原因だった。 ―そう、彼女には生きている人間とそうでないものとの区別がつかないのだ。 そんな不幸な体質の少... -
読書日記
『正しい世界の壊しかた:最果ての果ての殺人』- ルールごとひっくり返す!特殊設定ミステリの快楽、ここに極まれり【読書日記】
彩藤アザミ。 この名前を聞いて、「誰だろう?」って首をかしげる人もいれば、「ああ、あのホラーとミステリ混ぜるのうまい人ね」ってすぐ反応する人もいるはず。自分は完全に後者だし、しかもけっこう前から追っかけている。 で、今回の新作『正しい世界... -
読書日記
五条紀夫『町内会死者蘇生事件』- 殺したはずのクソジジイが、生きてラジオ体操に現れた朝【読書日記】
「誰だ! せっかく殺したクソジジイを生き返らせたのは!?」 ――これがこの物語の第一声であり、読者への宣戦布告でもある。 こんなにパンチの効いた書き出し、なかなかない。 五条紀夫の『町内会死者蘇生事件』は、タイトルも設定もぶっ飛んでる。そのくせ... -
国内ミステリー小説
須藤古都離『ゴリラ裁判の日』- 人の言葉を理解するゴリラが動物園を相手に裁判を起こす
ゴリラのローズは高校生並みの知能を持っており、特殊なグローブを使った手話で人間と会話もできた。 アメリカの動物園で夫のオマリと幸せに暮らしていたが、ある日事件が起こった。 オマリの檻に4歳の子供が入り込み、動物園側は子供を守るためにオマリを... -
海外ミステリー小説
サラ・ペナー『薬屋の秘密』- その薬屋には、女性を救うための罪深い秘密がある
結婚10周年に夫と旅行する予定だったキャロラインは、直前に夫の不貞が発覚したため、一人でロンドンに行くことに。 せっかくの記念旅行が傷心旅行になってしまい、落ち込むキャロラインだったが、テムズ川のほとりでふとガラス瓶を見つける。 ちょっとし...
