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『禁じられた館』- 不意に現れた脅迫状、煙のように消えた犯人、この館には何が隠されている?
食品会社の経営で財を成したヴェルディナージュは、小塔付きの本格的な城館を購入した。 厳かで壮麗でありながら近代設備も整った邸宅が手に入り、ヴェルデナージュはご満悦。 しかしこの館にはいわくがあった。これまでの所有者は、すべからく災いに見舞... -
小西マサテル『名探偵のままでいて』- 認知症の祖父の推理が光を放つ、日常系連作ミステリー
かつては聡明で小学校の校長だった祖父も、今では認知症で介護を受ける身。 それでも昔と変わらずミステリーが好きなようで、孫娘の楓が日常で起こった謎について話すと、知性がよみがえったかのように生き生きと謎解きをする。 書斎の椅子に腰かけ、フラ... -
北沢陶『をんごく』- なぜ妻は普通の霊になれず、この世をさまよっているのか
大正十三年、大阪。 関東大震災で結婚一年余りの妻・倭子を失った壮一郎は、四天王寺の巫女を訪ねた。 倭子の死をどうしても受け入れることができず、霊魂を降ろしてもらうためだった。 ところが巫女の降霊は、うまくいかなかった。 「なんや、普通の霊と... -
『邪教の子』- ホラーの名手、澤村伊智さんが描く戦慄のサスペンススリラー。
とあるニュータウンに引っ越してきた一家。 両親と一人の娘という構成だが、どうやら親は新興宗教の信者であり、娘は学校にも行かせてもらえず、虐待を受けているらしい。 その家族は信者ということで当然ご近所から浮きまくっていて、どうも様子がおかし... -
『ボタニストの殺人』- シリーズ最高傑作か。「毒殺」と「雪の密室」の二つの不可能殺人に迫る
英国の作家M・W・クレイヴン氏が手掛ける「刑事ワシントン・ポー」シリーズは、一度読み始めたら止まらない、中毒性の高い人気ミステリーシリーズとして確固たる地位を築いています。 その物語の中核を成すのは、型破りな言動の裏に揺るぎない信念を秘めた... -
『ライアーハウスの殺人』-「お前ら、私のトリックで死ね!」って言われて始まる二度読み必至の館モノ【読書日記】
ミステリ好きの血が騒ぐときって、大体は「館」「孤島」「嵐」「不可解な殺人」といったワードが目に入った瞬間だ。 いわゆる「館もの」ってやつ。これが出てくると、「はいはい、どうせあのパターンでしょ」と思いつつもワクワクが止まらない。あの様式美... -
中山七里『ヒポクラテスの悲嘆』引き籠り、暴力、老々介護……。家庭の闇をメスで暴く
浦和医大法医学教室には、今年に入ってから三度もミイラ化した遺体が運び込まれていた。 このハイペースは異常だ。 今回の遺体は40代女性のもので、死後二ヶ月以上が経過。 埼玉県警の古手川の調べによると、彼女は二十年もの間引きこもっており、母親が食... -
笠井潔『夜と霧の誘拐』- 謎と哲学の交響。前人未到、永久不滅の誘拐ミステリ
現代日本文学、とりわけミステリの領域において、比類なき知性と深遠なテーマ性で独自の光彩を放つ作家、笠井潔氏。 その作品群は、単に巧妙な謎解きを提供するに留まらず、読者を存在の根源的な問いへと誘う力を持っています。 中でも、現象学を駆使する... -
新名智『雷龍楼の殺人』- 容疑者、誘拐犯、囚われの少女が挑む「完全なる密室」
二年前、外狩一族の屋敷・雷龍楼で四名が死ぬ事故が起こった。 先代当主の妻、次男夫婦、三女の計四人が、一酸化炭素中毒死したのだ。 その後次男夫婦の娘・霞は、従兄の穂継の家に引き取られたが、事故から二年経ったある日、下校中に誘拐されてしまう。 ... -
『メイドの秘密とホテルの死体』- 殺人の罪を着せられた仲間の無実を証明するには?
5つ星ホテルでメイドをしているモーリーは人付き合いが苦手で、他人の意図を汲み取ることが困難だった。 それでもメイドとしての仕事が大好きで、誇りをもって真面目に働き続けていたが、ある日事件が起こった。 清掃のために客室のバスルームに入った時、...