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早坂吝『四元館の殺人』- 本格ミステリの奇才が館ミステリの新たなる地平を切り開く
新たな犯罪計画を企て犯罪オークションを開催する犯人のAI・以相(いあ)。 そのオークションの落札主はとある館に住むたった10歳の少女だった。 何者かに殺された従姉の復讐のため、その少女は殺人を叶えたいという……。 そんな不穏な話を知った探偵AIの相以... -
【自作ショートショート No.56】『肉』
アキラは仕事で出張へ出た帰り、田舎のとあるレストランへと立ち寄った。 外観は見窄らしく、とても小洒落たレストランとはほど遠いものだった。 昼食を食べる場所を探していたアキラであったが、このレストランには立ち寄るまいと通り過ぎるところであっ... -
彩藤アザミ『不村家奇譚』- 唯一無二の筆致で描く、戦慄のホラーミステリー
東北の山奥に潜む古い家である不村家は、昭和から現代、未来永劫と血脈に囚われ続ける一族である。 不村家では人智を超える能力を持つ子が生まれることがあり、彼らはときに不村一族繁栄の兆しとされていた。 しかしその裏では、健常な人を憎む「あわこさ... -
【自作ショートショート No.55】『ダイエットサプリ』
「あーあ、また太っちゃったわ」 ポチャ美は昔から食べることが大好きだった。 特に甘い物には目がなく、食後のデザートは欠かせなかったし、それ以外にもおやつに夜食にと隙あらば口が動いていた。その結果がこれ。 いよいよ体重は百キロの大台に乗りそう... -
陸秋槎『文学少女対数学少女』- 華文青春本格ミステリの新たなる傑作
今作の主人公となるのは、高校2年生の文学少女である陸秋槎(りくしゅうさ)と、孤高の天才数学少女である韓采蘆(かんさいろ)の2人。 秋槎はひょんなことから、自作のミステリー小説の評価を采蘆に依頼します。 しかし、采蘆は秋槎ですら予想出来なかっ... -
【自作ショートショート No.54】『宝箱』
悪魔の海域と呼ばれ、漁師から恐れられている場所がある。 この海域では船の事故が頻繁に起こっており、いつしかそう呼ばれるようになっていたのだ。 さて、そんな悪魔の海域ではある伝説がまことしやかに囁かれている。 それは金銀財宝の湧き出る宝箱が眠... -
早坂吝『犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー』- 奇想とロジックが宙を舞う超絶推理バトル
驚異的な推理力を持つ人工知能探偵の相以(あい)。 AI探偵事務所を輔と開いたもののいまひとつ収入には繋がらず、貯金を切り崩す日々を送っていた。 そんなある日のこと、相以の元へ警察から捜査の協力依頼が舞い込んでくる。 なんでも漁協長が壱岐の密室で... -
異常性の極み。飴村行『粘膜シリーズ』の読む順番とかあらすじとか語ったり
初めて『粘膜人間』を読んだとき、飴村行さんは一体なぜこんなものを書いたのか?と疑問に思ったし、一体どのような人間がこの作品を喜んで読むのだろう、とも思った。 しかし読み終わった時の私は完全に「粘膜シリーズ」の虜になっており、狂おしいほどに... -
【自作ショートショート No.53】『正しい行き先』
「あら、お父さんどこ行ったのかしら。大変、探しに行かなくちゃ」 リョウコはごく一般的な主婦だったが、父の認知症が分かってからは一緒に暮らすようになっていた。 幼い息子の育児だけでも大変なところへ父の介護まで加わって、毎日息つく暇もない。 「... -
山沢晴雄『ダミー・プロット』巧妙な替え玉トリックに翻弄される、幻の長編ミステリー
ルポライターの香子は、庁舎勤めの大幹がホテルで女性と一緒にいるところを目撃し、証拠写真を撮って金をせびろうとする。 一方服飾デザイナーの涼子は、自分と顔立ちがそっくりなOLの初子に、替え玉になるよう頼む。 また商社マンの風山は、殺人容疑をか...