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自作ショートショート
【自作ショートショート No.59】『未来ミラー』
サトミは鏡からそっと視線を外すと、顔を上げた。 視線の先にはボリュームのある髪を後ろに撫でつけて、引き締まった体躯の彼がいる。 サトミはもう一度、鏡に視線を戻して彼に気づかれないよう小さくため息をついた。 彼女が今その手にしているのは、ただ... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.40】『 囚人』
「クックック。今度の新入りはどんな奴なんだろうな。まぁどんな奴だろうが、前みたいにイビり倒してやるだけだけどな」 国の最果て、最高レベルの警備が敷かれる刑務所の一室で、見るからに悪そうな丸刈りの男が独り言をつぶやいていた。 男は数年前に殺... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.41】『善行ポイント』
自分のことだけを考える人間が少しずつ増えてきて、だんだん世の中がギスギスしてきていた。 犯罪も増えており、些細な喧嘩は毎日のようにあちらこちらで起こっている。 そんな世の中を憂えた政府は、善行カードなるものを作り、国民に配布した。 このカー... -
読書日記
諏訪部浩一『チャンドラー講義』マーロウは本当に孤高のタフガイだったのか?【読書日記】
『チャンドラー講義』 著者:諏訪部浩一 情報量 : (4.5) 文学性 : (4.0) マニア度 : (4.5) マーロウ度: (5.0) この作品を一言でいうと レイモンド・チャンドラーの創作人生と七つの長編をたどり、フィリップ・マーロウ像の変化を読み解... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.13】『死神の存在』
そのバーは、歓楽街の中心から、歩いて十五分ほどのところにあった。 ほどほどに薄暗く、心地いい音量のジャズをビージーエムに、二人の男が酒を酌み交わしている。 どうやら二人は旧知の仲らしく、久々に再開した、といった様子だった。 思い出話に花が咲... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.48】『空飛ぶ泥棒』
ドロンは金に困っていた。 情けないことに明日の食事にも事欠く有様で、今朝から何も食べていない。 「ちくしょー、腹減ったな」 ぐぅっと大きな音を立てる腹をさすりながら、ドロンはそっと辺りを伺う。 「今夜はどの家を狙おうか」 そう、彼の職業は泥棒... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.57】『魔法のスパイス』
魔法のスパイスなる発明品が発売された。 魔法を名乗るだけあり、その効能はすごい。 例えどんなに不味い料理であっても、魔法のスパイスをかけるとあら不思議。 なんと三ツ星シェフも驚きの絶品料理に変わってしまうのだ。 当初は広告も特になく、ひっそ... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.5】 『キカイな看護師』
この頃、病院は看護師が不足してきている。 近年の感染症騒ぎやらで離職者が増え、新たに看護師になる人数も減少傾向にある。 看護師がいなくなれば、病院の業務は回らなくなる。 看護師の減少は病院の危機でもあるのだ。 そこでS大附属病院はある奇手を... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.47】『天使になりたい』
あるところに、一人の悪魔がいた。 この悪魔は正真正銘生まれながらの悪魔であり、これまで何百年間も、悪魔らしく生き、悪魔らしく働いてきた。 悪魔の仕事と言えば、もちろん人間の世界に紛れて悪さをすることだ。 人間が急いで探しものをしている時に、... -
自作ショートショート
【自作ショートショート No.51】『遭難』
まさか自分が遭難するとは夢にも思わなかった。 いや、思ったことはある。 小説や映画のように、前人未到の孤島に難破して、大自然を相手に悪戦苦闘しながらサバイバルして生き抜く妄想を。 実際には苦難の連続であろうが、どこかそういった行為にあこがれ...
