星新一おすすめ名作15選【ショートショート】

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星新一さんのおすすめショートショートをご紹介させていただきます。

SF、ファンタジー、コメディでありミステリー。全てが詰まった名作ショートショートばかりです!

私が本を大好きになるきっかけとなったのが星新一さんの『ボッコちゃん』。

当時小学校高学年だった私に読書の面白さと衝撃を教えてくれました。

「ショートショート」という1話が数ページで読める短い物語のオンパレード。非常に読みやすく、かつ1話1話が濃厚で毎回衝撃を受ける。

そんな面白い話が何十話も収められて一冊になっているんだから面白くないわけがないんです!(≧∀≦*)

あれから星新一さんの作品をかき集め、今まで何回読み直したでしょうか。不思議なことに、星新一さんの作品は何回読んでも飽きずに面白いのです。

何回も読んだはずなのに、初めて読んだ時と同じように楽しめるのです。

こんな感覚は私のなかでは星新一さんの作品くらいしかありません。

今回は星新一さんの数ある作品の中で、どれから読んで良いかわからないという方に向けて、

とりあえずこの作品を読んでおけば間違いない!という作品を厳選しました。

何冊か読んだことがある人も、読んでいない作品があれば是非読んでみていただきたいです!(=゚ω゚)ノ

どうぞ参考にしていただければ幸いです。

目次

1.『ボッコちゃん』

SF作家、星新一が自選した、ショートショート50編を収録。

自選とあって、粒ぞろいの作品が並ぶ一冊です。

1つ1つの作品は短く、長くても10ページほど。

短い文章の中にきちんと起承転結が盛り込まれており、中にはラスト3行でどんでん返しがある作品も。

舞台は近未来で、便利な機械や異星人、有人惑星などが登場し、それらが用意した罠に人間がまんまと引っかかってしまう話が展開されます。

表題作の「ボッコちゃん」は、バーで働く絶世の美人アンドロイド「ボッコちゃん」に男性客が恋をするお語で、ブラックなオチで終わります。

昭和33年の作品ですが、人工無脳を題材としており、その先見性には脱帽します。

また「おーいでてこーい」は、現在の原発の産廃問題に触れていて考えさせられますし、「冬の蝶」は、Googleがサーバーダウンした時の騒ぎを彷彿とさせます。

様々なオチが用意されていますが、基本的には皮肉が効いたものが多い印象です。

1,000編以上もある星新一作品の入門本として、最適の作品集となります。

迷ったらまずこれを読んでください。

スマートなユーモア、ユニークな着想、シャープな諷刺にあふれ、光り輝く小宇宙群! 日本SFのパイオニア星新一のショートショート集。

2.『悪魔のいる天国』

こちらもショートショート36編。

ロボット、宇宙船、異星人、タイムマシンなど、SFチックなものから、死神、劇薬、幽霊、悪魔などの要素もある短編が収められています。

「ゆきとどいた生活」は、目覚ましから朝食の用意、テレビの電源オンなど、生活の全てを機械がやってしまうというお話。

科学技術が発達して、至れり尽くせりの世界ですが、これは幸せなことなのか、それとも不幸なことなのか……。

現在を生きる者として、考えさせられる作品です。

また、SFですが、一番怖いのは結局「生きている人間」なのだとも感じさせます。

高速道路で前を走るクルマに乗っているのは自殺した元彼女だった……という「追い越し」も、ベタな展開ではありますが、非常に衝撃的なラストを迎えます。

最後の1-2行でひっくり返されるお話が多く、我々が指摘をされたくない、痛い部分をうまく突いてくる作品もいくつかあります。

前述の「ボッコちゃん」と重複する短編もありますが、それを除いても、昭和30年代に書かれたものとは思えないほど古びておらず、読み応えのある作品集です。

ふとした気まぐれや思いつきによって、人間を残酷な運命へ突きおとす“悪魔”の存在を、卓抜なアイデアと透明な文体を駆使して描き出すショートショート36編を収録する。

3.『ノックの音が』

昭和60年刊行のショートショート集。

星新一とくればSFが思い浮かびますが、この作品集は現実的な「室内」がテーマとなっており、全て「ノックの音がした」から話が始まります。

基本的に室内にいる主人公に、強盗や殺人犯など、誰かが訪ねてくるという滑り出しの作品が全15編が収録されています。

しかし、そんな設定縛りとは裏腹に、ホラーやサスペンスなど、どの作品もそれぞれ個性的な展開となり、読み応え十分。

予想の斜め上をいく展開に、星新一の恐るべきセンスが感じられます。

一方で、登場人物は「エヌ氏」などのイニシャルではなく、ちゃんとした名前を持っており、こちらは星新一らしくなく逆に新鮮です。

インターホンではなく、あえてノックであるところに人間らしさも感じます。

最後のオチはボカされており、読者の想像に委ねられますが、何となく想像できてしまいますので、そこも楽しみの一つですね。

読んだあと、あなたはきっとノックの音が怖くなることでしょう。

ミステリー小説が好きな方にもおすすめです。

ノックの音とともに、二日酔いの男の部屋にあらわれた見知らぬ美女。親しげにふるまう彼女の正体は? いったい、だれのところへ、どんな人が訪れてきたのか。その目的は。

4.『おのぞみの結末』

こちらは、星新一の作品としては長めのお話が11編、収録されている一冊。

とはいえ、1話10-15分もあれば一読できる長さです。昭和50年刊行。

やはり、同氏ならではの奇想天外のストーリー展開となり、意外なラストにたどり着くショートショート集です。読み終えたあと、表題との矛盾も感じることでしょう。

表題作は、ファンであれば「メロンライスにガムライス」というフレーズを聞いただけで、タイトルと展開が思い浮かんでくる、特に有名な作品です。

また、穏便な手段で平和な世界を実現した「ひとつの目標」と、武力的な手段で平定した「要求」という、2つのお話での”平和”の対比には、アッと言わざるを得ません。

登場人物たちが望む結末に事が進みますが、客観的に見ると好ましい状況ではない……。

毎回、ラストを予想しながら読み進めますが、二転三転のどんでん返しで、必ずと言っていいほど全てのお話で予想が外れてしまう、恐るべき星新一の構成力を垣間見る短編集です。

超現代にあっても、退屈な日々にあきたりず、次々と新しい冒険を求める人間……。その滑稽で愛すべき姿をスマートに描き出す11編。

5.『妖精配給会社』

ショートショート傑作35編。

セールスマンとお客の掛け合いがユーモラスな「アフターサービス」、タイムマシンを発明したことで起こるパラドックスをテーマにした「作るべきか」、星新一にしてはいい話で終わる「友だち」、同氏では珍しく中国が舞台の「恋がたき」など、個性的な短編が並びます。

また表題作は、耳障りのいいことしか発言しない妖精に人々が釘付けになるというお話で、現代のSNSを彷彿とさせ、承認欲求とその先にある孤独について考えさせられる作品となっています。

星新一の作品は、オチが分かっていても再読してワクワクできるものばかり。

この作品集の登場人物は、「エヌ氏」「エフ氏」という名付けと、きちんとした名前が付いている作品が混在しています。

同氏の作品は前者が多く、狙いはイメージを固着させないためということで、これが時代を経て現在でも通用する理由の一つでしょう。

他の星から流れ着いた“妖精”は従順で遠慮深く、なぐさめ上手でほめ上手、ペットとしては最適だった。半官半民の配給会社もでき、たちまち普及した。

6.『マイ国家』

昭和51年に刊行された短編集。

SFは少なく、人間の生臭さや哲学的なものを感じさせる31つの作品で構成されています。

表題作の「マイ国家」は、機械が人間に合わせていくのではなく、システムの利便性を享受するために、人間側が調整されるという、まさに今からの時代を捉えた作品だと言えます。

また「語らい」は、わずか17行で完結するショートショートなのですが、しっかりと星新一の個性が感じられ出ている作品です。

一方の「ねむりウサギ」は、童話の”ウサギとカメ”がモチーフ。

一見、滑稽ですが、ひたむきに物事に取り組む姿勢が周囲を惹き付けていきます。夢中になっているウサギに、あなたもこうなりたいと思わされるでしょう。

その他、言い訳ばかりしているサラリーマンを描く「いいわけ幸兵衛」、宇宙を目指すロボットのお話「宿命」、人間であると催眠をかけられたゾウの話である「服を着たゾウ」などの短編が収められています。

難しい言葉や表現は一つも出てきませんが、題材はとても考えさせる、社会を風刺した作品が多く入っています。人物の匿名性も低く、少し長めの短編が集められています。

世間の常識や通念を、新鮮奇抜な発想でくつがえし、一見平和な文明社会にひそむ恐怖と幻想を、冴えた皮肉とユーモアでとらえたショートショート31編。

7.『未来いそっぷ』

「アリとキリギリス」「北風と太陽」「ウサギとカメ」など「いそっぷ村の繁栄」と題された連作をはじめ、33話のショートショートが収録されている短編集です。

タイトルの通り、誰もが知っている童話を星新一流にアレンジ。

カメが正攻法ではない裏技を使うなど、予想もつかない結末が皮肉たっぷりに描かれており、各話とも最後には「教訓」も付属しています。

「不在の日」は、作者がいない日の小説世界のお話。いつまで経っても何も起こらない平和な日々が、かえって異常だと感じてしまいます。

最後に現れた作者がエンディングをつけて完結しますが、星新一氏しか書けない作品ですね。

また、生産性が向上して余暇が増えたために皆が芸術に没頭し、成果物をお互いに見せびらかしていく内にくたびれてしまうという「余暇の芸術」は、承認欲求に疑問を投げかけ、SNS時代を先取りした、先見性のあるお話だと言えます。

そして「ある夜の物語」は、人から人へと思いやりが連鎖していく、あたたかくやさしいクリスマス・イブの物語。社会風刺やシニカルな物語の中で一際光る、とても素敵な作品です。

大人はもちろん、読書を始めたばかりの小中学生にもピッタリの一冊です。

『アリとキリギリス』『ウサギとカメ』など、誰でもごぞんじの寓話の世界。語りつがれてきた寓話も、星新一の手にかかると、ビックリ驚く大革命。

8.『ようこそ地球さん』

主に宇宙を舞台とした、奇想天外なショートショートが42編、詰まっています。

中でもおすすめのお話は「処刑」。

遠い星でひとり孤独のなか、何度も死の覚悟を迫られるという拷問のような処刑を受ける男。彼の揺れ動く心理描写と想像を超えるラストに、思わず感動すること間違いありません。

また「殉教」も、あなたの死生観を変えてしまうほどの傑作です。死の恐怖を克服してしまった人類。

大多数が集団自殺していく中で、死ぬことができず残された人々は正しいのか、間違っているのか……自分ならどうするだろうと、考えさせられる作品です。

その他、メディアに踊らされ、洗脳されていく愚かな人間を描く「証人」、表現規制の行く末と、草食男子の出現を見通している「テレビ・ショー」、耳が伴になるという発想が斬新で、ハートウォーミングな「愛の伴」、性的欲求を満たす怪しい機械を流行らせ、世界征服を企む「セキセトラ」などが収められています。

昭和30年代の初期の作品が多いですが、時代を経ても色褪せないのはさすがです。

文明の亀裂をこじあけて宇宙時代をのぞいてみたら、人工冬眠の流行で地上は静まりかえり、自殺は信仰にまで昇華し、宇宙植民地では大暴動が惹起している――

9.『きまぐれロボット』

読みやすいショートショート36編を収録。

どちらかというと子供向けのお話が多いですが、もちろん大人もハッとさせられます。

様々な分野の「博士」が登場し、突拍子のない発明をしていきますが・・・プログラミングされたロボットたちが、人間や宇宙人の思惑を、それとなく阻害していくのが何ともシュールです。

欲をかくと裏目に出てしまい、悪い人は成敗されるということを、優しく教えてくれる作品で構成されています。

かつて、小学校の国語の教科書に掲載された「おみやげ」は、宇宙人が残した不治の病を治す薬や宇宙船の設計図を、核で爆破してしまうという、人間の愚かさが描かれています。

ある博士が悪人を発見する目薬を開発したという「目薬」では、秀逸なオチを楽しめます。

人間を奴隷と言い切る「ネコ」は、ネコを飼っている人は、思わず笑ってしまうでしょう。いじめっ子を撃退する「ユキコちゃんのしかえし」も印象的です。

どれも2-3分で読める短い作品が多く、4コマ漫画のような読み心地です。時間に追われる日常の中で、空き時間などでサラッと読まれてみるといいでしょう。

おなかがすいたら料理をつくり、あとかたづけに、へやのそうじ、退屈すれば話し相手に。なんでもできるロボットを連れて離れ島の別荘に出かけたお金持ちのエヌ氏。だがロボットはしだいにおかしな行動を…。

10.『午後の恐竜』

こちらは様々な「終わり」をテーマとしたショートショート集。

全11編で、どちらかというと長めでブラックなお話が収録されています。

未開のまま終わりを遂げる文明を描いた「エデン改造計画」で幕を開け、複雑な現代社会でハマグリとなって自らを閉ざす「狂的体質」で終幕する一冊です。

表題作「午後の恐竜」は、ふと窓を見上げたら恐竜がいたという導入から、SFらしい結末を迎えるお話です。

詳しい内容は言えませんが、この作品集で一押しの短編となります。数あるショートショートの中でも5本の指に入る傑作です。

自殺願望の女性と取引を持ちかける悪魔のお話「華やかな3つの願い」では、魂と引き換えに3つの願いを叶えるという悪魔に、どうやって魂を渡さずに立ち回るかという展開。

3つ目の願いに”その手があったか”と思わず感嘆してしまう、星新一氏らしいオチで終わります。

さらに、人間の本能をするどく皮肉った「戦う人」、支離滅裂な夢は、実は脳内で劇団が演じていたという「おれの一座」がおすすめ。

とにかく表題作「午後の恐竜」だけでも読んでみてください。

現代社会に突然出現した巨大な恐竜の群れ。蜃気楼か?集団幻覚か?それとも立体テレビの放映でも始まったのか?―地球の運命をシニカルに描く表題作。

11.『妄想銀行』

昭和53年刊行のショートショート32編。

この本の一押しは「伴」。地位でも名誉でも富でもなく、全てをかけて夢を追いかけ続ける姿勢は素晴らしいという、人生が詰まっていると言っても過言ではないお話。

ラスト1行のセリフは、きっとあなたの心にしみることでしょう。星新一氏の作品の中でも、外せない名作です。

また「古風な愛」は、現在のドラマでありがちな、切なく愛情深い恋愛ものを10ページほどでまとめてしまう、星新一氏の力量に驚かされます。

「さまよう犬」はさらに短く、わずか2ページ。にも関わらず、寂しさ、愛おしさが感じられるロマンチックで不思議な短編です。

表題作の「妄想銀行」は、人間の原動力になるのは実は妄想だということが分かる、たいへんインパクトのあるお話です。

また「とんでもないやつ」は、苦し紛れに生み出したものが、ラストに価値あるものに変わるという、出だしは貧相ですが壮大なストーリー。

思いつく限りの快適機能を装備したクルマの販売の物語である「小さな世界」は、最後のオチで”顧客が本当に求めている機能は何なのか”ということを考えさせられます。

冒頭にご紹介した「伴」は必読。ぜひ手にとっていただきたい一冊です。

12.『エヌ氏の遊園地』

こちらもショートショート31編の短編集。

SF的な作品はほとんど無く、舞台は現代で、詐欺、誘拐、恐喝、強盗、通貨偽造などの犯罪ものが多く揃っています。

同一人物ではありませんが、”エヌ氏”が多く登場します。

「夕暮れの車」は、数ページの作品が多い中で36ページを占める異色作。

車に乗る元詐欺師の2人が過ごす、とある1日にフォーカスを当てたもので、この短編集の中ではいちばん穏やかでノスタルジックなストーリーです。

「波状攻撃」は、詐欺に引っかかってしまう人は何回でも引っかかるよという、警鐘を鳴らす一作。

他にも、人工幽霊によるコミカルなストーリー「うらめしや」、窃盗犯の逃走劇を描いた「逃走の道」、欲にまみれた人間は、いつかはその欲に押しつぶされるという「欲望の城」などがおすすめです。

本当の意味での完全犯罪が描かれる「殺し屋ですのよ」は2004年、”世にも奇妙な物語”の1話として観月ありさ主演で映像化もされています。

昭和40年代の作品ですが、古さを感じさせません。時事風俗に関することはあえて描かないという、星新一氏のスタンスがそうさせているのだと、あとがきで分かります。

13.『おせっかいな神々』

ショートショート40編。神様、死神、悪魔などがキーとなっているお話が多い短編集。

悪魔に願いを叶えてもらうという定番の展開では、自分なら何をお願いして、悪魔をどう出し抜くか、考えながら楽しめる作品もあります。

「箱」は、”妄想銀行”収録の「伴」と同様、人生とは何かを問うストーリー。

遠い昔、素晴らしいものが入っているが1回しか使えないよと言われ手渡された”箱”を、主人公はいつ開けるのか、箱に入っているのは何なのか、見どころです。

「現代の美談」は、ある出来事から皆がパニックになり、本来は決して許されないことが逆に感謝されるというシニカルな作品。

また「ささやき」は、今で言うAirPodsに人間がコントロールされるという笑える話なのですが、同時に、いつかはこういった世界がくるのでは?という怖さを感じます。

神と悪魔は紙一重。正におせっかいな神々たち。

あとがきには「ショートショートの3原則」の記述があって、星新一氏の短編執筆の姿勢が分かります。

14.『ひとにぎりの未来』

星新一氏の得意とするSF要素が詰まった、ショートショート40編。

人間とテクノロジーの関係性、現在のライフスタイルを予測するような内容となっています。

「第一部第一課長」では、家事にかける時間が愛情の大きさなんだ、という価値観の真逆を表現。

とにかく時間をかければありがたみが増すとなりがちな概念を一掃しています。

「成熟」では、共通の目的があると人は団結するが、相手を出し抜こうと考えだすとどうなるのか、という堂々巡りを想像して楽しむお話です。

「流行の病気」では、病気を予防する薬が蔓延する世の中で、あえて飲まない選択をした男は、どんな真実を知ったのでしょう。

また、現実の男性に幻滅した女性が、幻想で理想の息子を作り出して依存する「くさび」と、マイナンバーが発行された現代において、将来に起こり得るような、あまり救いのない「番号をどうぞ」は、共にとても怖い内容となっています。

その他、近年SNSで話題となる”上級国民”を連想させるような描写がある「うちの子に限って」、一つのことだけに熱中しそれ以外は排除という集団のお話「涙の雨」など、ブラックユーモアあふれる作品で構成されています。

こちらも昭和50年代の作品で、近未来的な舞台設定が多いなか、「はい」だけは2016年というリアルな時代設定で、思わずドキリとさせられます。

テクノロジーの進歩で、我々は何を得て、何を失うのでしょうか……。

15.『どこかの事件』

こちらはSFというよりも、ショートミステリーといった短編が収録されている一冊。

平凡な日常生活を送るサラリーマンが事件に巻き込まれていき、理不尽や自業自得など、ブラックな結末を迎えてしまう21話が収録されています。

その中でも異彩を放っている「ポケットの妖精」も、途中までは平和に見えますが、最後のどんでん返しで意外なラストを迎え、ただ幸せで終わらないような構成。

寝言が殺人事件に発展してしまう表題作「どこかの事件」や、秘密結社の身分証明書をたまたま拾ったサラリーマンが、流れでエージェントになってしまう「カード」、何度殺害しても翌日には平然と出社してくる上司に怯える「うるさい上役」、依頼に基づき自社の情報をリークしていた社員が、トントン拍子で出世して役員になった後、依頼主の意外な正体を知る「企業の秘密」などがおすすめです。

”その男は、くだらん男だった”から入る「味覚」では、読み終えた後に、実はこの1行は作品のエッセンスだったことに気付かされます。

天使と悪魔に翻弄される「お願い」は、ブラックな天使が見どころ。

実は悪魔の方が自分にとって良いことをもたらしてくれる……のでしょうか。

事件は新聞の三面で起きているのではなく、以外と自分の近くで起きていることを感じる作品集です。

現実に報じられている事件も、ひょっとしたらあなたが関わっているのかも知れません。

おわりに

はっきりいって星新一さんの作品はどれから読んでも面白いのですが、その中でも初めて読む人にとくに読んでいただきたい作品を厳選しました。

参考にしていただければ幸いです。

また星新一さんのショートショーがお好きであれば、阿刀田高さんの短編&ショートショートも読んで見てください。

ブラックユーモアが強く、ゾクっとするオチを楽しむことができます。

それでは良い読書ライフを!(=゚ω゚)ノ

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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