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早坂吝『犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー』- 奇想とロジックが宙を舞う超絶推理バトル
驚異的な推理力を持つ人工知能探偵の相以(あい)。 AI探偵事務所を輔と開いたもののいまひとつ収入には繋がらず、貯金を切り崩す日々を送っていた。 そんなある日のこと、相以の元へ警察から捜査の協力依頼が舞い込んでくる。 なんでも漁協長が壱岐の密室で... -
異常性の極み。飴村行『粘膜シリーズ』の読む順番とかあらすじとか語ったり
初めて『粘膜人間』を読んだとき、飴村行さんは一体なぜこんなものを書いたのか?と疑問に思ったし、一体どのような人間がこの作品を喜んで読むのだろう、とも思った。 しかし読み終わった時の私は完全に「粘膜シリーズ」の虜になっており、狂おしいほどに... -
【自作ショートショート No.53】『正しい行き先』
「あら、お父さんどこ行ったのかしら。大変、探しに行かなくちゃ」 リョウコはごく一般的な主婦だったが、父の認知症が分かってからは一緒に暮らすようになっていた。 幼い息子の育児だけでも大変なところへ父の介護まで加わって、毎日息つく暇もない。 「... -
山沢晴雄『ダミー・プロット』巧妙な替え玉トリックに翻弄される、幻の長編ミステリー
ルポライターの香子は、庁舎勤めの大幹がホテルで女性と一緒にいるところを目撃し、証拠写真を撮って金をせびろうとする。 一方服飾デザイナーの涼子は、自分と顔立ちがそっくりなOLの初子に、替え玉になるよう頼む。 また商社マンの風山は、殺人容疑をか... -
澤村伊智『怪談小説という名の小説怪談』- 怖いのに読むのをやめられない震恐のホラー短編集
8月14日の深夜、僕は複数の知り合いを乗せて、高速道路を運転していた。 途中、食事のためにサービスエリアに立ち寄った時、同乗者の一人が急に「思い浮かんだ」と言って、女性の絵を描いた。 左右の目がありえない方向を向いて笑っている不気味な女性の顔... -
【自作ショートショート No.52】『身代わりロボット』
ある国でロボットの研究をしているこの博士には、特別苦手なことがある。 それは、他人とコミュニケーションをとること。 彼は、人と面と向かって話すのが昔から大の苦手だったのだ。 そんな博士には、大きな困りごとがあった。 それは、研究資金の援助を... -
『ブラックサマーの殺人』-『ストーンサークルの殺人』に続く期待の英国ミステリシリーズ第二作
今作は、M・W・クレイヴン著の英国推理作家協会賞最優秀長篇賞(ゴールド・ダガー賞)受賞作『ストーンサークルの殺人』の続編となる、ワシントン・ポーシリーズ第二作。 前作の『ストーンサークルの殺人』同様、物語の舞台はカンブリア州。 過去に主人公... -
【自作ショートショート No.51】『遭難』
まさか自分が遭難するとは夢にも思わなかった。 いや、思ったことはある。 小説や映画のように、前人未到の孤島に難破して、大自然を相手に悪戦苦闘しながらサバイバルして生き抜く妄想を。 実際には苦難の連続であろうが、どこかそういった行為にあこがれ... -
荻堂顕『ループ・オブ・ザ・コード』- 混迷と絶望の現代を撃つ、弩級の近未来×ハードボイルド
新生国家イグノラビムスで、200名以上の子供たちの発作が同時期に起こった。 身体を固く折り曲げ、意識は混濁、食事を拒否し、どんどん衰弱していく。 WEO(世界生存機関)の職員アルフォンソは、現地調査要員としてイグノラビムスに赴き、この奇病につい... -
染井為人『滅茶苦茶』- 人生の道を誤り、落ちるところまで落ちた三人の命運は?
「こんなはずじゃなかったのに……」 独身でいることに焦り、マッチングアプリで出会った男性の誘いに乗って暗号通貨の取引を始めた美世子。 県内の進学校に入学するも成績が振るわず、不良グループたちと夜遊びをするようになった礼央。 ホテルの経営不振に...