小林泰三おすすめ小説15選【ミステリ、ホラー、SF、全てが最高峰】

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今回おすすめさせていただきたいのは、《ホラー短編の名手》などと呼び声の高い小林泰三さんの作品です。

しかし、小林さんの面白い作品は何もホラー短編だけっていうわけでなく、ミステリーもサスペンスもSFもとっても面白いのです。

幻想的でどんでん返しもしてくれる『アリス殺し』、日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した『玩具修理者』……うーん、最高です。

もちろんジャンルは違えど、どの作品にも小林泰三さんの独特な世界観があるわけで。

とくに今回紹介させて頂く作品のなかでは『玩具修理者』が一番小林泰三さんらしい作風だと感じます。

まあまあ、とりあえず読んでみてくださいな。

それではどうぞ、参考にしていただければ幸いです(*’▽’*)

目次

1.『アリス殺し』

「不思議の国」である夢の世界と現実の世界がリンクしている物語です。

なんと、夢の中で人が死ぬと現実でも人が死んでしまうのです。

不思議の国のアリスをモチーフにしており、ちぐはぐな会話やチェシャ猫の登場など、アリスをそこかしこに感じる世界観です。

『不思議の国のアリス』の世界観をそのままに、現実世界とリンクしていて、会話のテンポも良く、二転三転する展開が面白いですね。

犯人探しのミステリーとしても読み応えがあるし、次第に世界線が歪むSFとしても楽しいです。

キャラクターの会話形式で話が進んでいくので、ミステリー初心者にとっては普通のミステリー小説よりずっと読みやすいと思います。

ファンタジーとミステリ―の掛け合いですが、ふわふわした様子はなく、しっかり人は死にますしグロテスクな描写もありますので、ファンタジーだと思って読むとびっくりするかもしれません。

しっかりと構成された話ですが、時々夢と現実がわからなくなるような描写によって、物語にぐっと引き込まれていきます。

主人公になった気分で読み進めていくと、謎解きも十分楽しむことができるでしょう。

2.『クララ殺し』

前作『アリス殺し』の登場人物、井森が主人公。

夢の中ではまぬけな蜥蜴「ビル」として活躍する彼は、ある日牧草地が広がる不思議な世界に迷い込みます。

そこには、車いすの少女「クララ」とおじいさんが暮らしていました。目覚めた現実でも、「くらら」という車いすの少女に出会います。

「くらら」は脅しを受けていて、おじさんに相談しに来たのだそう。さて、「クララ」と「くらら」はリンクしているのでしょうか?

物語の進み方は、前作『アリス殺し』と同様で、キャラクターの会話が中心となって進んでいきます。

今回の作品は、『くるみ割り人形』『砂男』『スキュデリ嬢』などの有名なホフマン作品を複数モチーフとしています。

馴染みのある人なら話にも入りやすいですが、知らない作品だと少し難しいかもしれません。

これを機会にホフマンの名作たちを読んでみるのもアリですね!

前作同様、不思議な世界観ですが、しっかりと構成された話とミステリー、最後までしっかり読まないとうっかり騙されてしまうような展開の仕方に目が離せません!

3.『ドロシイ殺し』

「メルヘン殺し」シリーズ3作目です。

今回も、不思議の国では、まぬけな蜥蜴「ビル」になってしまう井森が主人公。

今度は、砂漠が広がる不思議な世界でドロシイという少女に出会います。

彼女は、かかしとブリキの木こりとライオンを引き連れていました。

もうおわかりですね?今度のモチーフは『オズの魔法使い』!

なんと、オズマ女王の宮殿で、死体が発見されるというミステリーが起きます。

さて、この死体はなぜそこにあり、どうやって殺されたのでしょうか?そして、現実世界とどのようにリンクしているのでしょうか?

今回は、複数作品ではなく『オズの魔法使い』が主体となっていますし、物語もよく知られていると思いますので、本作品の中により入りこみやすいかと思います。

ただし、同著者の『玩具修理者』や『酔歩する男』の要素も入っているので、そちらを読んでおくとより世界観にのめり込みやすくなります。

ファンタジーの要素が強い中で、時折無情に盛り込まれるグロテスクさが、欧州の童話を彷彿とさせ、その部分に魅力を感じる人も多いでしょう。

4.『ティンカー・ベル殺し』

シリーズ4作目は、主人公井森が大人と子どもが殺し合う世界「ネヴァーランド」に迷い込んでしまいます。

なんと、みんなのヒーロー、ピーター・パンが殺人鬼!?

彼は海賊や妖精を、呼吸するように簡単に、そして無邪気に殺して回ります。

なんという恐ろしいキャラクターに出会ってしまったのでしょうか。と、イメージだけで言うと驚きを隠せませんが、実は原作の『ピーター・パン』にかなり忠実であるのです。

さて、そんな世界で起きるティンカーベル惨殺事件、犯人はピーター・パンでしょうか?しかし彼は、井森と一緒に「犯人捜し」を始めます。

今回も、ファンタジー要素満載で現実離れした設定の物語。お察しの通り、モチーフは「ピーター・パン」です。キーワードは「双子」!

今作はかなりたくさんの人がどんどん死んでいく上に、グロテスクな描写もてんこ盛り。

小林泰三ファンにとっては、嬉しい展開でしょうか?

残念ながら、作者の死去によって「メルヘン殺し」シリーズはこれで最後になると思われますが、今作では、舞台となる不思議の国「アーヴァタール」の新たな真相が判明します。

5.『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』

物語の舞台は、ゾンビが蔓延する世界。

この世界では、死ねば誰もがゾンビとなるというウイルスに侵されています。

死んだ人はゾンビとなって、家畜として管理されたり野良としてそこら中を歩き回ったり…。

そんな不思議な世界で起きた事件は、密室の中で突然ゾンビ化してしまう!というもの。

彼はゾンビウイルスの研究者で、突如としてゾンビになったのです。一体どうやって?彼は死んだのでしょうか?

そんな謎に立ち向かうのは探偵八つ頭瑠璃。彼女の過去にも注目です。

現実離れした世界観の中で、物語の登場人物たちは実にナチュラルに生き、そして謎に立ち向かっていきます。

設定に不自然さがないのです。様々なゾンビ映画や小説はありますが、小林泰三ならではの視点で描かれる新しいゾンビ作品です。

相変わらずテンポよく、物語を読み進めていくことができるので、グロテスクな描写もスッと乗り越えて、後味悪くなく読み終えることができます。

6.『玩具修理者』

小林泰三さんの代表作。小林泰三さんといえばコレ!という方も多いでしょう。

本著には、『玩具修理者』の他に『酔歩する男』の2話が収録されています。

壊れたものなら何でも直せる玩具修理者は、死んだ猫すら直すことができる?

主人公はその話を聞いて、あるものを直してもらうために玩具修理者の下を訪れます。

さて、無事に直すことはできたのでしょうか?短い話ではありますが、話のグロテスクさと夏の暑さによって、ぐちゃぐちゃになっていく感覚がぞわっとした恐怖を感じさせます。

死んだ者が直るというのは、どういうことなのか、その真相を知った時、さらに違った恐怖を感じます。

『酔歩する男』はタイムリープが起きる世界でのSF風ホラー。

どちらの話も、情景描写が鮮明すぎて想像しなくても映像が頭に流れ込んでくるような感覚です。

ホラーが苦手な人は、夜眠れなくなってしまうほどに強い衝撃と恐怖を植え付けるでしょう。

物語に入り込み、「コワサ」に包まれたい人必読です。

7.『失われた過去と未来の犯罪』

「記憶」は人にとってどれほど重要なものか、ということを感じる世界。

そこでは人間がみな、記憶障害に陥り、外部装置がなければ自分の記憶を保存できなくなってしまいました。

これによって記憶を失い、自分を失った人間たちが、様々な物語を生み出していきます。

10分しか記憶が保てない世界で生きる人々の、ユーモア溢れるやり取りも癖になります。

今回も、物語の舞台は小林泰三氏ならではの不思議設定でありながら、しかし確かな設定と構成によってあたかもそういう世界が存在するかのように、物語にのめりこんでしまいます。

身体と記憶をバラバラにできるという世界は、同時に記憶を他の身体に移植することもできてしまいます。

さて、人とは一体何をもってして「自分」だと明言できるのでしょうか? そんな哲学さえも生み出していくブラックSFミステリーです。

この作品は、わたしたちが生きる「リアル」の常識や倫理観を全て排除して読むことをおススメします。

そこにある世界でしか通用しない、常識と倫理観を飲み込むことが楽しみ方の一つです。

8.『未来からの脱出』

そこは、森に囲まれた老人ホーム。

何も不自由なく穏やかな日々を送っていた主人公のサブロウはあることに気づいてしまします。

それは、「自分の記憶がない」ということ。なぜその老人ホームにいて、そもそもそこは本当に老人ホームなのか、それすらもわからないのです。

そのことに気づいてしまった時から、平穏な日常は崩れてきます。

謎の協力者からのメッセージ、仲間たちとの共謀、その施設を抜け出した時、一体何が待っているのでしょうか?

小林泰三作品は、グロテスクな表現が多いですが、この作品はいつものグロとは遠い作品となっています。

施設からの脱出の描写は、さながら脱出ゲームのようで、ゲームに参加している気持ちで読み進めることができます。

しかしながら、最後には殺人が起きるなど、ミステリー要素も忘れずに盛り込まれているのがさすがです。

9. 『海を見る人』

表題作を含め、7編が収録されている短編集です。

一つ一つの物語が、短編であるにも関わらず丁寧かつ細かく設定が組まれているので、小林泰三ワールドを7回楽しめる著作となっています。

ただし、ハードSFと分類されるように、SFそのものや小林泰三が初めての人にとっては少し入り込みにくいかもしれません。

また、話によっては、物理や化学の知識がある人の方が楽しめる部分もあります。

しかし、いつものグロテスクさやミステリー要素は控えめなので、綺麗な世界観を楽しむことができるのは魅力の作品です。

表題作『海を見る人』の世界では、時間の信仰速度が異なる世界の人間同士が恋をするという甘く切ないお話。

1年後の再会の約束をしたものの、1年が100年に換算される世界で生きる少年はこの恋を通してどんな風に成長していくのでしょうか?

10.『目を擦る女』

SFホラー短編作品8篇を収録した短編集です。現実や夢、空想との違いはなんなのか…。

不思議で不気味な感覚を味わうことになる、それがこの8つの作品に共通して言えることでしょう。

表題作『目を擦る女』では、世界は自分の夢の中だと宣う不思議な女が登場します。

主人公の生きている現実の世界が「女の夢」なので、彼女は「私を起こしてはならない」と主人公に言います。

彼女の現実世界は既に崩壊し、真っ暗闇のすさんだ世界なのだとか。

彼女を起こすとその世界が訪れてしまう。彼女の言っていることはただの妄想なのでしょうか?それとも…?

「メルヘン殺しシリーズ」のように、世界が入り混じるような感覚になり、次第にどちらが本当の現実なのかよくわからなくなっていきます。

しかし、最後は雲が晴れるように物語の真相を見えてくることでしょう。

小林泰三の世界観を存分に感じながら、短い話の中で深く考えさせられる作品です。

11.『天体の回転について』

誰もが夢を見たことのある「宇宙」と、小林泰三氏ならではの発想が織りなす独特の世界観がぎゅっとつまった短編集です。

表題作『天体の回転について』は、コペルニクスを彷彿とさせますよね。

軌道エレベーターが作られ、しかもそれがすっかり忘れ去られた世界。青年はそれを使って月を目指します。

この世界では、進み過ぎた科学文明によって、人間が科学に興味を持てなくなり文明レベルが退化してしまっています。

ところが、この青年だけは科学に興味をもち、月を目指したのでした。

その先で出会った女の子は、彼には理解のできない言葉で話し、そして実体がありませんでした。

物語の中で触れられる物理法則や科学知識は、基礎知識がないと少し難しく感じる部分もありますが、非常にわかりやすく解説されているところも見所の一つです。

どの話も、少しずつ小林泰三ならではのグロテスクさやエロティシズムが盛り込まれていますので、そこも味わってみてください。

12.『人獣細工』

自分の身体の秘密に気づいてしまった時、少女は何を思うのか……。

彼女の父親は、臓器移植を専門とする高名な医者でした。

彼女は、小さいころから臓器移植を繰り返し、身体中にその傷跡が残っています。

驚くべきことに、彼女の中に移植された臓器たちは特殊なブタのもの。

この事実に気づいてしまった彼女の心は一体どうなっていくのでしょうか?

表題作『人獣細工』は、そんな異様な世界観で物語が進んでいきます。

もしもあなたが主人子夕霞だったとしたら、その事実を知りたかったと思うでしょうか?

そして、もし知ってしまったとしたら父親にどのような感情を抱くのでしょうか?

他『吸血狩り』『本』を収録した3篇の短編集となっています。

小林泰三ならではのグロさは控えめですが、不気味さと恐怖感を味わうには十分。

どの話も違った世界観で描かれていて、小林泰三ワールドを三度楽しめる、美味しい作品です。

13.『脳髄工場』

11作品が盛り込まれた短編集です。

「人工脳髄」は犯罪抑制のために作られた。その機能は、脳に働きかけて感情を抑制するというもの。

この世界では、成人するまで人工脳髄が当然にように装着されています。一方で、人工脳髄を装着せずに天然脳髄のまま生活をするものも。

ある少年と親友は天然脳髄のままでいたいと強く願っていました。

ところが、親友が人工脳髄を付けなくてはならなくなった時、彼らの関係性が崩れていきます。

果たして、人工脳髄を装着した彼は、本当の彼なのか、そう思わざるを得ない変貌ぶり。

そして次第に、人口脳髄を装着することを選んだ者たちを許せなくなっていきます。

一方で、数少ない天然脳髄であることにこだわりながらも、差別への苦悩も描かれていきます。

小林泰三ワールド全開の設定ですが、その中でも人間の信念・孤独・迷い様々な感情を露わにし、哲学的思考を誘われる内容が印象的です。

どの話もそうした人間の仄暗さを据えた、SFホラー作品となっています。

14.『臓物大展覧会』

10作品を収録した、ホラー短編集です。

この作品群は、小林ファンが大好きなグロテスク要素がふんだんに盛り込まれているので、そういった表現に抵抗がある人には読みにくい作品かもしれません。

どの作品も、独特な世界観と強烈なニオイを残していくのが印象的です。

痛さ・怖さ・不気味さ、そういった感覚にまとわれ、1作品読み終えるごとに、おどろおどろしい気持ちに支配されることでしょう。

『臓物大展覧会』というタイトル、これだけで強烈なニオイを感じますね。

ある男が、ひょんなことから間違えて訪れてしまった街で見つけた「臓物大展覧会」の看板。

彼は暇つぶしにと、その展覧会に足を踏み入れてしまいます。そこにはおびただしい数の臓器がありました。

そして、管理人はその臓物の声を聴けと声をかけてきます。そして、読者は9つの臓物の声を聴くことになるのです。

さて、これらを飲み込んだ時、どんな気持ちになっているのでしょうか?

15.『天獄と地国』

またもや不思議な世界が舞台の本作。

『天獄と地国』では、頭の上が地面で足の下が空というサカサマが常態。

下に落ちると真っ逆さま、宇宙空間に吸い込まれてしまいます。この世界では、限られた資源を大切に分け合って人々が暮らしています。

ところが、この資源を奪うことで生きる空賊たちも存在していました。

主人公たちは、空賊の取りこぼしを狙う「落穂拾い」。彼らは、この世界の果てにもっと暮らしやすい場所があるということを確信し、旅に出ます。

この作品は『海を見る人』の中で短編として収録していたものを、長編化して発表した作品となっています。

まさにハードSFとしか呼べないような緻密かつハードな設定と世界観で、新たな物語として仕上げています。

予想していた展開から、二転三転と裏切られていくのが小林泰三作品の醍醐味、本作品でも同様に期待通り裏切られていきます。

さて、ラストは一体どのような形を迎えるのでしょうか?乞うご期待です!

おわりに

最後までご覧いただき本当にありがとうございました。

グロテスクな気持ち悪い怖さ、背筋が寒くなるゾクゾクする怖さ、頭がおかしくなっちゃうような精神的にくる怖さ。

様々なタイプの怖さを味わえる小林泰三さんの作品、とくとご覧くださいませ。

それでは、良い読書ライフを!(=゚ω゚)ノ

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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