読書日記– category –
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五条紀夫『町内会死者蘇生事件』- 殺したはずのクソジジイが、生きてラジオ体操に現れた朝【読書日記】
「誰だ! せっかく殺したクソジジイを生き返らせたのは!?」 ――これがこの物語の第一声であり、読者への宣戦布告でもある。 こんなにパンチの効いた書き出し、なかなかない。 五条紀夫の『町内会死者蘇生事件』は、タイトルも設定もぶっ飛んでる。そのくせ... -
『パラドクス・ホテル』- チェックインした瞬間から、現実がぐらつき始めるSFミステリ【読書日記】
タイトルに惹かれて読み始めたら、そこはただのホテルじゃなかった。 ロブ・ハートの『パラドクス・ホテル』は、時間旅行が観光ビジネスになっている2072年の近未来を舞台に、クローズド・サークルミステリ、社会風刺、SF、ラブストーリー、全部をひとつの... -
『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』- タイトルで全部バラしてるのに、こんなに面白いなんてズルい【読書日記】
このタイトルを見て、読まない選択肢があるだろうか? 『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』。 あまりにストレートすぎて、逆に怪しい。でも読んでみると、タイトル以上の驚きが次々に飛び出してくる。ベンジャミン・スティーヴンソンという名前は、今後... -
結城真一郎『どうせ世界は終わるけど』- 希望という名の小惑星が落ちてくる、そのとき僕らは何をするのか。【読書日記】
結城真一郎という名前を聞いて、まず思い出すのはあの鋭利な〈どんでん返し〉と、社会を映す冷徹な視線だ。 『#真相をお話しします』の読後に味わう、軽いめまいのような感覚。ミステリの文法を知っている者ほど深くえぐられる“黒結城”の毒。それは確かに...