国内ミステリー小説– category –
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『崑崙奴』- 古泉迦十氏、待望の帰還 ― 24年の沈黙を破る超大作
「幻の作家」とも称された古泉迦十氏が、実に24年ぶりに世に送り出した本格ミステリ超大作──それが『崑崙奴』です。 2000年に第17回メフィスト賞を受賞したデビュー作『火蛾』で、文学界に鮮烈な印象を刻みつけながらも、その後は長らく沈黙を貫いてきまし... -
笠井潔『夜と霧の誘拐』- 謎と哲学の交響。前人未到、永久不滅の誘拐ミステリ
現代日本文学、とりわけミステリの領域において、比類なき知性と深遠なテーマ性で独自の光彩を放つ作家、笠井潔氏。 その作品群は、単に巧妙な謎解きを提供するに留まらず、読者を存在の根源的な問いへと誘う力を持っています。 中でも、現象学を駆使する... -
遠坂八重『死んだら永遠に休めます』- こんな真相、知りたくなかった。悪夢の社畜ミステリ
現代日本文学における注目すべきミステリー作品が登場しました。遠坂八重氏による『死んだら永遠に休めます』です。著者は2022年に『ドールハウスの惨劇』で第25回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビューした新進気鋭の作家であり、本作はその筆力を改め... -
野島夕照『片翼のイカロス』- 上空500mでヘリと人間が衝突。奇々怪々な謎に迫るどんでん返しミステリ
ミステリ界に新たな才能が登場しました。野島夕照氏です。同氏は、島田荘司氏が選考を務める第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞において、本作『片翼のイカロス』で見事優秀作を受賞し、華々しいデビューを飾りました。 この賞は、本格ミステリの書... -
衣刀信吾『午前零時の評議室』- 法廷×デスゲーム×本格ミステリ×どんでん返し
衣刀信吾氏の『午前零時の評議室』は、第28回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した、注目すべきデビュー作です。この受賞は、新人作家の登場を告げるにとどまらず、ミステリというジャンルに新たな才能が本格的に挑戦したことを強く印象づけました。新... -
若竹七海『まぐさ桶の犬』- タフで不運すぎる女探偵が帰ってきた
ミステリ作家や熱心なファンから熱い支持を受ける若竹七海氏の葉村晶シリーズが、新たな長編で私たちの元へ帰ってきました。タフでありながらあまりにも不運な女探偵、葉村晶。彼女の存在は、現代日本ミステリの中でも独特の輝きを放っています。 このシリ... -
よくあるユーモアミステリ、と見せかけた「二度読み必至」の傑作『殺人事件に巻き込まれて走っている場合ではないメロス』
「メロスは激怒した。」― 太宰治の名作『走れメロス』のあまりにも有名な一文です。 多くの日本人にとって、友情と信頼、そして友のために時間と戦いながら必死に走るメロスの物語は、深く心に刻まれていることでしょう。暴君ディオニスへの怒り、身代わり... -
神が探偵だったら?『神探偵イエス・キリストの冒険』という異次元ミステリ
『神探偵イエス・キリストの冒険』――このタイトルを目にした瞬間、多くの読者は驚きと好奇心を禁じ得ないでしょう。名探偵役を務めるのは、他ならぬイエス・キリストその人。そして著者は、日本のミステリ界において、常に型破りな作品を世に問い、ジャン... -
この衝撃、神の領域。清涼院流水『ジョーカー 旧約探偵神話』で常識を覆す体験を
1996年、清涼院流水氏は『コズミック 世紀末探偵神話』でミステリ界に彗星のごとく現れ、その圧倒的なスケールと奇抜な発想で読書界に衝撃を与えました。その翌年、1997年に講談社ノベルスから刊行されたのが、長編ミステリ『ジョーカー 旧約探偵神話』で... -
清涼院流水『コズミック』- 本格ミステリ史上、最もバッシングを受けた鬼才の世紀末を揺るがした超問題作
清涼院流水氏のデビュー作『コズミック 世紀末探偵神話』は、1996年の発表以来、日本のミステリ界に激震をもたらし、今なお語り継がれる伝説的な作品です。その前代未聞のスケール、奇抜な設定、そして既存のジャンル規範を大胆に踏み越える内容は、熱狂的...