阿刀田高おすすめ名作短編集&ショートショート7選

  • URLをコピーしました!

ブラックユーモアな短編&ショートショートといえばこの方、阿刀田高(あとうだたかし)さんです。

ゾクリとする読後感を残す「奇妙な味」の名手としても有名。

今回はそんな阿刀田さんの数多くある作品の中で、これを読んでおけば間違いない!という、とにかく面白い作品集を厳選しました。

星新一さんのショートショートをほぼ全部読んでしまい、途方にくれていた私を救ってくれた阿刀田さん。

星さんとは絶妙に違うスパイスある短編ばかりで、見事にどハマりしました。

・星新一さんのようなショートショートが好き
・「奇妙な味」が好き
・ブラックユーモアのあるお話が好き
・ゾクっとするようなオチが好き

などの方はぜひ読んでみてください。

一度ハマっちゃうと抜け出せなくなっちゃいますよ〜(´∀`*)

目次

1.『冷蔵庫より愛をこめて』

この作品を読まずして、阿刀田高さんは語れません。

阿刀田さんの代表作にして最高傑作候補。

奇妙な味であり、ミステリのようであり、ブラックユーモアたっぷりでスパイスの効いた物語が18編。

どの話も予想外の角度からゾクッとオチをつけてくる。アイデアが凄すぎるんですよねえ。

そのアイデアを奇抜なオチまで持っていく話運びも完璧。

表題作ほか、「趣味を持つ女」「幸福通信」「わたし食べる人」「エネルギーの法則」「ギャンブル狂婦人」辺りは特に優れた短編。

唯一の難点は手に入りにくいこと。古本屋さんなどで見かけたら即買いしましょう。

2.『ナポレオン狂』

これも阿刀田さんの代表作にして最高傑作候補。

初めて阿刀田さんを読むのであれば、『冷蔵庫より愛をこめて』と『ナポレオン狂』をおすすめします。

最高としか言いようがないブラックな後味。表題作「ナポレオン狂」と「来訪者」、「サン・ジェルマン伯爵考」「甲虫の遁走曲」などが特に好き。

短く、シンプルに、強烈な後味を残す。そんなお話が13編。

短い物語の中でこれだけ引き込ませ、ゾクッとするオチを決める構成はまさに神の成せる技。この「ゾクッ」が病みつきになるんです。

『冷蔵庫』と『ナポレオン』。この二冊を読んでしまったらもう阿刀田ワールドの虜になること間違いなし。

3.『食べられた男』

初期の頃の傑作集。

『冷蔵庫』と『ナポレオン』が好みなら読んで間違いなし。

ブラックがスパイスが効いたショートショートが41編。

やはりこの頃のショートショートが一番ノリノリです。

親友のS君が、ゾッとするほどの美人と結婚した。そして一ヵ月、S君の足に、最初の変化が現れた―。どこにでもいそうな人、いつでも起こりそうな出来事、そんな日常の風景が少しだけ捻れた時、静かに恐怖が忍び寄る。

と、あらすじの通り、「どこにでもありそうな日常の中に潜む恐怖」の描き方が本当にうまい。

ゾッとするオチが来るんだろうなあ、とわかっていても予想できない「ゾッ」をしてくれるから好きです。

あとがきで『ショートショートというジャンルは星新一で始まり星新一の死とともに終わった』と述べられていますが、私にとっては阿刀田さんもショートショートの神です。

星さんも阿刀田さんもそれぞれの味がある。同じショートショートでも、種類が全く違う。だからいい。

4.『だれかに似た人』

これも初期の方の作品。 10編。

短編の名手の名にふさわしいキレのある作品が揃っています。

ホラーのようでミステリのようで不思議な、でもどこかでありそうなブラックなお話。阿刀田さんのお得意のやつです。

男女の関係を描いたものが多く、この独特の「不気味さ」は阿刀田さんにしかかけない。

お気に入りは『奇談パーティ』。

5.『黒い回廊』

「阿刀田高傑作短編集」とある通り、数多くの作品の中から傑作ばかりを集めた短編集。

わかっちゃいるけど「上手いなあ」と思わせる物語ばかり。

何気ない日常に恐怖を潜ませるのが抜群にうまくて、普段私たちが生きているこの日常にも、常に恐怖が潜んでいるんだと想像させる。

ホラーと言っても「人間が怖い」系の話で、どんより怖いのではなく、ピリッとした絶妙な後味がたまらないのです。

オチがわかっていても何度でも楽しめるから不思議。

マイベストは「夜のアスパラガス」。

6.『青い罠』

続いても「阿刀田高傑作短編集」。

アイデアそのものも面白いし、そのアイデアを最大限に活かすのが阿刀田さんのすごいところ。

ラスト数行でのどんでん返しはいつ読んでもゾクッとするし、ニヤリともさせられてしまう。

「危険な絵本」がベストかな。

ブラックユーモアがすごい!というより、「良質な短編集」としてオススメ。

7.『こんな話を聞いた』

すべて『こんな話を聞いた』から始まる短編が18つ。

星さんの『ノックの音が (新潮文庫)』を彷彿とさせますね。

冒頭に奇妙なエピソードが挿入され、続いて本編へと繋がっていく構成。

相変わらずラストにゾクッとさせるのが上手く、語り口もいい。

『ナポレオン狂』や『冷蔵庫』に比べると、ブラック感は控えめ。

とはいえ「短編の名手」と呼ばれるにふさわしいお話ばかりで、話運びの巧さが光る。

マイベストは「骨細工」。この一編は、阿刀田さんの短編の中でもトップクラス。

おわりに

以上が阿刀田高さんのおすすめベスト7です。

この7作品を読んですっかり阿刀田ワールドにハマってしまったら、

次点で

過去を運ぶ足 (文春文庫)

マッチ箱の人生 (講談社文庫)

壜詰の恋 (講談社文庫)

危険信号 (講談社文庫)

などがおすすめです。

またエッセイの『恐怖コレクション (新潮文庫)』も面白いので、ご一緒にお手にとってみてください。

ただどれも古い作品なので、なかなか手に入りにくいのが難点です。電子書籍化してないのも多いし。電子書籍化してたらチャンスです。

いつか「阿刀田高さん復刊祭り!」みたいのやってくれませんかねえ。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

目次