読書日記– category –
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読書日記
『拷問依存症』- 「イヤ」じゃ済まない、おぞましさの向こう側【読書日記】
ミステリ好きなら一度は出会ってしまう、イヤミスというジャンル。 読み終わったあとに気分が悪くなる、あれだ。 でも櫛木理宇(くしき りう)の『拷問依存症』は、その中でもかなり別格だ。これはもう、イヤを通り越しておぞましいに達している。「おぞミ... -
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『新・黄色い部屋』- 読者への挑戦状、再び。日本の犯人当て小説黄金時代へようこそ【読書日記】
まず、書名からしてミステリ好きにはたまらない。 『新・黄色い部屋』というタイトルを見た瞬間、反射的に「ガストン・ルルーか!」と叫んだ人も多いはずだ。 そう、あの『黄色い部屋の謎』へのオマージュである。ミステリ史における「密室」という概念を... -
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有栖川有栖『濱地健三郎の奇かる事件簿』- この探偵は死者の声を聞き、読者と納得をつくる【読書日記】
探偵という職業には、常に二つの顔がある。 冷徹な論理の使い手としての顔と、人の痛みに寄り添うセラピストとしての顔。濱地健三郎は、その両方を兼ね備えている珍しい探偵だ。 東京・南新宿の裏通りにある小さな事務所。ここにやって来る依頼人は、みん... -
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北山猛邦『神の光』- 物理の北山、とうとう「街」も「建物」も消す【読書日記】
北山猛邦の短編集『神の光』を読み始めてすぐ、これは単なる不可能犯罪ではないことをすぐに思い知らされる。 タイトルが象徴するように、本書の全編を貫いているのは「神の視点」と「人間の限界」、そして「建造物の消失」という極めて抽象的で、かつ物理... -
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『増補新装版 オカルト・クロニクル』- 「奇妙」を愛する全ての人へ。オカルトファン必読の伝説の書が帰ってきた【読書日記】
幽霊が本当にいるのかとか、超能力が実在するのかとか、そんな話は昔から繰り返されてきた。 でも正直、そういう「信じる? 信じない?」の水掛け論にはもう疲れてきた感がある。オカルトに多少なりとも興味がある人なら、なおさらそうじゃないだろうか。 ... -
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三津田信三『妖怪怪談』- 知ってるはずの怪異が、知らない顔をしてやってくる【読書日記】
座敷童、河童、雪女、鬼、神隠し。 これらは、日本人なら誰しも一度は耳にしたことのある妖怪たちだと思う。小学校の教科書に出てきたり、昔話やゲーム、アニメでなじみがあったり、お土産物のキャラクターとしても親しまれていたりする、そんな知っている... -
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『真犯人はこの列車のなかにいる』- 密室、殺人、フェアプレイ。この列車には、ミステリ好きの夢が詰まっていた【読書日記】
豪華列車の中で殺人事件が起きる。密室。容疑者はみんなその場にいる。 閉じられた空間で、探偵が動き、真実が暴かれる。 アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』を頂点として、数えきれないほどの「列車ミステリ」が生まれてきた。そして多くの... -
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『オリエンド鈍行殺人事件』- 推理を脱線させて、笑いへ向かう。『オリエント急行の殺人』への愛ある反逆【読書日記】
雪に閉ざされた列車、見知らぬ乗客たち、突如発見される死体。ミステリファンが狂喜乱舞するクローズド・サークルの理想郷──それがアガサ・クリスティーの『オリエント急行の殺人』であり、誰もが知る名作のフォーマットである。 そんな完璧な舞台装置に、... -
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『本好きに捧げる英国ミステリ傑作選』- すべての本好きに贈る、古書と殺意の香りに満ちた極上アンソロジー【読書日記】
本好きにとって「本が殺人事件の中心にある話」なんて、それだけで無条件にワクワクしてしまう。そんな人にドンピシャなのが、この『本好きに捧げる英国ミステリ傑作選』である。 ただの短編集と思うなかれ。これは大英図書館とマーティン・エドワーズとい... -
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『デスチェアの殺人』- すべてが繋がる快感。これがシリーズ最高傑作ってやつか【読書日記】
ミステリというジャンルは、読者の好みに応じていろんな系統に枝分かれしている。 密室、叙述トリック、社会派、サイコスリラー……でも、いざ「今おすすめの現代クライム・フィクションを教えてくれ」と訊かれたときに、真っ先に挙げたくなるのが、M・W・ク...
