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フェルディナント・フォン・シーラッハ『午後』- 午後という時間に、人はふと語り出す【読書日記】
たった166ページ。なのに、読後に胸の奥に沈んでいく何かがある。 フェルディナント・フォン・シーラッハの『午後』は、文字通り「午後のような読書体験」になった。 陽はまだ高いけれど、ふと影が長くなるあの時間。そこに誰かが腰かけて、ぽつりと語り出... -
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『ウは宇宙船のウ【新訳版】』 レイ・ブラッドベリが夢見る少年に託した、17の時間旅行【読書日記】
「さよならをいうのは嫌いなの」 この一文にピンときたら、もうあなたはブラッドベリの魔法に片足を踏み入れている。 今回読んだのは、東京創元社から刊行された『ウは宇宙船のウ【新訳版】: ブラッドベリ自選傑作集』。 新刊といっても、もとは1962年に出... -
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【随時更新】とにかく面白い短編集おすすめまとめ【短編小説】
短編集には、長編とはまた違った魔力がある。 どこから読んでもいい、すきま時間にぴったり、そして何より「この一編がすごい!」という一点突破の快感。ミステリ好きにとっては、「粒ぞろい」というより「一撃必殺」が詰まった宝箱のような存在である。 ... -
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『オー・ヘンリー傑作集1 賢者の贈り物』- 短編にしかできないひっくり返しの快感と魔法
短編小説というのは、気づけば中毒になっている。 たった数ページで始まり、いつの間にか転がり、最後の数行で「そう来たか!」と頭を抱える。 これは最高の娯楽だ。ミステリを読む人間として、このひっくり返される感じには本当に抗えない。 そういう「読... -
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『ドイツロマン派怪奇幻想傑作集』- 幻想と狂気とからくりと、200年を超える「怖い」の系譜
「創元推理文庫のくせに、犯人当てがひとつもないじゃないか!」とツッコミを入れたくなる人もいるかもしれない。 だが、この『ドイツロマン派怪奇幻想傑作集』(遠山明子編訳)は、れっきとしたミステリ文庫から出ているだけあって、「謎」の核は確かにあ... -
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『コロラド・キッド 他二篇』- スティーヴン・キングの「幻の作品」が収録された日本オリジナル中篇集
スティーヴン・キングのデビュー50周年を記念して刊行された『コロラド・キッド 他二篇』は、いわば「読まれずにいたキング」を一気に解き放った作品集だ。 長らく国内では読めなかった「幻」の中篇群をまとめ、日本オリジナルの文庫版としてリリースされ... -
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『修道女フィデルマの慧眼』- 中世アイルランドは、こんなにもミステリに向いている【読書日記】
歴史ミステリに手を出すとき、「難しそう」「知識が必要そう」と一歩引いてしまう人もいるかもしれない。 でも、もし最初の一冊で世界観に一気に引き込まれ、「歴史×ミステリってめちゃくちゃ面白いじゃん!」と感動したいなら、この『修道女フィデルマの... -
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『沈みかけの船より、愛をこめて』- パン買ってこい、からゾンビまで。乙一が分裂して挑む個展アンソロジー
ある文庫の背表紙に、こんな名前が並んでいる。 乙一、中田永一、山白朝子、そして安達寛高。 知らない人が見たら「人気作家による豪華共演だな」と思うかもしれない。でもこの並び、実は全部、ひとりの作家によるペンネームと本名である。 そう、これは奇... -
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忘れられた巨匠? とんでもない! 今こそ読みたい物語の怪物だ – 『死の10パーセント: フレドリック・ブラウン短編傑作選』
フレドリック・ブラウン。 名前は聞いたことがある。でもちゃんと読んだことはない。 そんな人も多いんじゃないだろうか。 昔のSF作家? ミステリも書いていた? そんな印象のままスルーされがちなこの作家は、実はとんでもない物語の魔術師である。 とい... -
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阿刀田高おすすめ名作短編集10選 – 「奇妙な味」に酔いしれる夜へ
阿刀田高の短編を読み始めると、ふと「これはどこへ向かう話なんだ?」と首をかしげることがある。 だが、それがすでに術中なのだ。彼の物語には、常に目には見えにくい罠が張り巡らされていて、私たちは知らず知らずのうちにそこを歩かされる。 そして最...
