新着記事
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【自作ショートショート No.49】『ある怪盗の悲劇』
どんな時代、どんな国にも、他人から金や物を盗むことを生業にする、迷惑な泥棒が一定数は存在するものだ。 そんな泥棒の中でも、世界的に価値のある絵画や装飾品などを狙う大泥棒のことを、人々は怪盗と呼ぶ。 この国でも、Kと呼ばれる怪盗が巷を騒がせ... -
『真っ白な嘘』-新訳版が登場!『後ろを見るな』だけは、必ず最後にお読みください。
ショートショートの名手であるフレドリック・ブラウンにより書かれ1962年に出版された短編集。 江戸川乱歩が編集したアンソロジー「世界推理短編傑作集」にも選出された「危ないやつら」など、確かな読み応えの短編ミステリが18篇収録されています。 「笑... -
三津田信三『歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理』刀城言耶の助手が怪異を推理で一刀両断
瞳星愛(とうしょうあい)は10歳の夏休みに、祖母が住む瀬戸内海の波鳥町で不可思議な体験をする。 近道を進もうとして「日暮れ時になると亡者が歩く」と言われる亡者道に入った時に、不気味な人影とすれ違ったのだ。 その人影は「死んでいるけど生きてい... -
【自作ショートショート No.48】『空飛ぶ泥棒』
ドロンは金に困っていた。 情けないことに明日の食事にも事欠く有様で、今朝から何も食べていない。 「ちくしょー、腹減ったな」 ぐぅっと大きな音を立てる腹をさすりながら、ドロンはそっと辺りを伺う。 「今夜はどの家を狙おうか」 そう、彼の職業は泥棒... -
結城真一郎『名もなき星の哀歌』- 記憶の断片から真実を見つ出す、切なさの募る青春ミステリー
銀行員の良平と漫画家を目指す健太は、「店」で記憶を売買する裏稼業をしている。 人から記憶を買い取り、欲しがっている人に売るのだ。 ある日二人は、謎のシンガーソングライター・星名の歌を路上ライブで聴いた。 不思議と涙がこぼれた良平。 興味を抱... -
阿津川辰海『録音された誘拐』- 令和のテクノロジーを欺く誘拐犯との頭脳戦
探偵事務所の所長・大野が誘拐された。 大野の家は資産家ではあるが、なぜよりによって探偵事務所の所長をターゲットにしたのか。 どうも15年前に起こった誘拐事件が関係しているらしいが……。 助手の美々香は、特殊能力である抜群の聴力を生かして事件に挑... -
【自作ショートショート No.47】『天使になりたい』
あるところに、一人の悪魔がいた。 この悪魔は正真正銘生まれながらの悪魔であり、これまで何百年間も、悪魔らしく生き、悪魔らしく働いてきた。 悪魔の仕事と言えば、もちろん人間の世界に紛れて悪さをすることだ。 人間が急いで探しものをしている時に、... -
【自作ショートショート No.46】『ロボット介護士』
高齢化が進む時代。 若者が減った代わりに増えたものがある。 それはロボットだ。 ロボットはさまざまな分野で活躍するようになり、人類を労働から開放した。 それは介護士業界でも同じことが言えた。 介護士業界の仕事は、すべてロボットが担うようになっ... -
神津凛子『スイート・マイホーム』- 読んだことを悔やむ「オゾミス」の名作
スポーツインストラクターの賢二は、寒がりの妻のためにたった1台のエアコンで家中を同じ温度で暖めることができる「まほうの家」を購入した。 実家のことが気がかりで事前に母に相談したものの、これまた意外にもあっさりと納得してくれた。 そのとき兄が... -
芦花公園『異端の祝祭』- カルト教団の不気味な背景に迫る新感覚ホラー
就職浪人生である島本笑美は失敗続きの毎日に疲れていた。 失敗の原因は自分でもよく分かっている、それは彼女の普通の人とは異なるとある点が原因だった。 ―そう、彼女には生きている人間とそうでないものとの区別がつかないのだ。 そんな不幸な体質の少...