読書日記– category –
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読書日記
櫻田智也『失われた貌』- 顔を失ったのは、死体だけじゃなかった?三人の最強作家が揃って絶賛するんだから読むしかないでしょ【読書日記】
『失われた貌』を手に取ったきっかけは、帯に踊る三人の名前だった。 伊坂幸太郎が「ミステリーが好きで良かった」と感慨を述べ、恩田陸が「捜査と謎解きのハイブリッド」と驚き、米澤穂信は「ガッツポーズ」した。 こう並ぶと、もはや推薦文というより殿... -
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『毛糸のズボン』- 焼け跡から蘇った恐怖。直野祥子のトラウマ少女漫画に飲み込まれて
「幻の一冊」という言葉はよく使われるけど、直野祥子『毛糸のズボン』ほど、この言葉がぴったりくる本も珍しい。 筑摩書房から『毛糸のズボン』が復刻されたと聞いたとき、正直「まさか」という気持ちになった。だって、この作品群は阪神・淡路大震災で原... -
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『廃集落のY家』- これは霊の話ではない。もっと生々しくて、もっと足元をすくう何かの物語だ【読書日記】
現代ホラーの怖さは、何も血まみれの化け物や悲鳴だらけの展開だけではない。むしろ、ありふれた日常が静かにずれはじめる瞬間にこそ、本当の恐怖は潜んでいる気がする。 『廃集落のY家』も、冒頭は拍子抜けするほど穏やかだ。大学の新歓合宿。まだ春の空... -
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『正しい世界の壊しかた:最果ての果ての殺人』- ルールごとひっくり返す!特殊設定ミステリの快楽、ここに極まれり【読書日記】
彩藤アザミ。 この名前を聞いて、「誰だろう?」と首をかしげる人もいれば、「あのホラーとミステリ混ぜるのうまい人ね」とすぐ反応する人もいるはず。自分は完全に後者だし、しかもけっこう前から追いかけている。 そして今回の新作『正しい世界の壊しか... -
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『眠れるアンナ・O』- 4年間眠りっぱなしの容疑者? この設定、反則級に引き込まれる【読書日記】
「人は人生の3分の1を眠って過ごす」なんてのはよく聞くけど、ブレイクはそこからもう一歩踏み込む。 「じゃあ、その間に人は何ができる?」と、ちょっと挑発的な質問を投げてくる。この時点で「この人ただのスリラー作家じゃないな」と思った。 で、本題... -
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『ラミア虐殺』- 伝説のミステリ復刊!でもこの本、最後まで読めると思わないで
2025年4月、『ラミア虐殺』が光文社文庫から復刊された。 このニュースを見て、「まさか」と思った人も少なくないはずだ。 なぜってこの作品、初版は2003年。20年以上ものあいだ、古本屋とネットオークションの世界で〈伝説の獣〉として語り継がれてきたの... -
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「あしか汁」って何だ?と口にした瞬間から、あなたは終わり――三浦晴海の呪われた記録【読書日記】
三浦晴海『なぜ「あしか汁」のことを話してはいけないのか』。 タイトルを見た瞬間から、何とも言えない違和感が喉の奥に引っかかる。 あしか汁? なんだその昭和の漁師町にありそうなメニューは。 ほっこりした郷土料理の本かと思いきや、これが全然ほっ... -
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『アミュレット・ワンダーランド』- 殺し屋も泊まるホテルで、探偵は掟を守りながら推理する【読書日記】
このホテルは、チェックインした瞬間から現実感が吹き飛ぶ。 名前は「アミュレット・ホテル」。 殺し屋、詐欺師、窃盗団……とにかく職業の欄に書いたらその場で警察を呼ばれそうな人たちが、悠々とロビーを歩いている。普通のホテルの「お客様は神様です」... -
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『堕ちた儀式の記録』-「これは本当にフィクションか?」って思った時点でもう遅い【読書日記】
最初に言っておきたい。この本は小説ではない。いや、小説なのだけれど、たぶん違う。 ページをめくっていると、物語を読んでいる感覚がどんどん薄れていって、これはどこかで本当に起きたんじゃないか?と思えてくる。それくらい、読後感が不気味に残る一... -
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『夜明けまでに誰かが』- 8時間の密室地獄へようこそ。閉じた車内で、人間はどこまで人間でいられるか【読書日記】
ホリー・ジャクソンの名前を聞くと、まず思い浮かぶのは『自由研究には向かない殺人』だ。 高校生探偵ピップの華麗な推理劇に胸を躍らせた読者は多いと思う。あれは正統派の「フーダニット(誰がやったか)」、つまり犯人探し型ミステリーだった。 しかし...
