読書日記– category –
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貫井徳郎『不等辺五角形』- 私が殺したの。――その一言から全てが崩れ始める【読書日記】
二十年以上続いた絆は、ひと晩で簡単に形を変える――それがこの物語の始まりだ。 貫井徳郎『不等辺五角形』は、読み始めたときの空気と、読み終えたときの空気がまるで違う。 最初は爽やかな夏の海辺、旧友たちの再会、葉山の別荘という閉ざされた空間。い... -
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『9人はなぜ殺される』- 静かな日常に、突然突きつけられる「死のリスト」【読書日記】
もし、ある日突然、自分の名前が「死のリスト」に載っていたらどうする? ピーター・スワンソン『9人はなぜ殺される』は、そんな悪夢のような設定から始まる物語だ。タイトルからして嫌な予感しかしないんだけど、内容はその想像を軽く飛び越えてきた。 物... -
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『イーストレップス連続殺人』- 黄金期ミステリなのに、やたら現代的な早すぎた傑作
静かな海辺の町が、ひとりの殺人鬼によって崩壊していく。 フランシス・ビーディング『イーストレップス連続殺人』は、そんな悪夢のような連続殺人の記録だ。 1931年の古典ミステリだけど、2025年6月に日本で初めて翻訳された文庫が発売されたのだ。嬉しい... -
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『ポルターガイストの囚人』- それって本当に幽霊のしわざ? 傑作『深淵のテレパス』に続くシリーズ第二弾【読書日記】
襖(ふすま)が勝手に開く。電気が消える。落下する遺影。壁の向こうから、誰もいないはずの足音が響く。 けれど本当に怖いのは、そんな現象じゃない。この家にいるのは、もしかすると私自身なのかもしれない。 上條一輝の『ポルターガイストの囚人』は、... -
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『マイ・ゴーストリー・フレンド』- 王道の団地ホラーだと思って読んでたら、ギリシャ神話が歩いてきてSF大作になった【読書日記】
ホラーを読むつもりだった。 団地ホラー。Jホラー。消えゆく住人と、呪われた部屋。 そんな定番の安心感に身を委ねるつもりで手に取った『マイ・ゴーストリー・フレンド』は、予想以上にずっと遠くまで、私を連れていってしまった。 カリベユウキのデビュ... -
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『交番相談員 百目鬼巴』- そのおばさん、尋常じゃない。『教場』の著者が描く新たな警察ミステリ【読書日記】
長岡弘樹(ながおか ひろき)という作家の名前を聞くと、まず思い出すのはやっぱり『教場』。 あの、警察学校を舞台にした緊張感たっぷりの物語は、多くの読者の心に残っているはず。そんな彼が次に選んだ舞台が「交番」だなんて、ちょっと驚きじゃない? ... -
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『暗殺依存症』- 最強の殺し屋が「殺さない」を選んだときに始まる、魂のロードムービー【読書日記】
世界最高の殺し屋が殺しをやめると決めたとき、彼が頼ったのは「アサシンズ・アノニマス(AA)」という、殺し屋を更生させるグループだった――この設定を聞いただけで、もう面白い。 ロブ・ハートの『暗殺依存症』は、この突き抜けた発想を基盤に、アクショ... -
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五条紀夫『町内会死者蘇生事件』- 殺したはずのクソジジイが、生きてラジオ体操に現れた朝【読書日記】
「誰だ! せっかく殺したクソジジイを生き返らせたのは!?」 ――これがこの物語の第一声であり、読者への宣戦布告でもある。 こんなにパンチの効いた書き出し、なかなかない。 五条紀夫の『町内会死者蘇生事件』は、タイトルも設定もぶっ飛んでる。そのくせ... -
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『パラドクス・ホテル』- チェックインした瞬間から、現実がぐらつき始めるSFミステリ【読書日記】
タイトルに惹かれて読み始めたら、そこはただのホテルじゃなかった。 ロブ・ハートの『パラドクス・ホテル』は、時間旅行が観光ビジネスになっている2072年の近未来を舞台に、クローズド・サークルミステリ、社会風刺、SF、ラブストーリー、全部をひとつの... -
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『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』- タイトルで全部バラしてるのに、こんなに面白いなんてズルい【読書日記】
このタイトルを見て、読まない選択肢があるだろうか? 『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』。 あまりにストレートすぎて、逆に怪しい。でも読んでみると、タイトル以上の驚きが次々に飛び出してくる。ベンジャミン・スティーヴンソンという名前は、今後...










