国内ミステリー小説– category –
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『オリエンド鈍行殺人事件』- 推理を脱線させて、笑いへ向かう。『オリエント急行の殺人』への愛ある反逆【読書日記】
雪に閉ざされた列車、見知らぬ乗客たち、突如発見される死体。ミステリファンが狂喜乱舞するクローズド・サークルの理想郷──それがアガサ・クリスティーの『オリエント急行の殺人』であり、誰もが知る名作のフォーマットである。 そんな完璧な舞台装置に、... -
『●●にいたる病』- その病は読者にも感染する。我孫子武丸から始まる地獄のアンソロジー
1992年に発表された我孫子武丸の『殺戮にいたる病』は、もはやただの小説じゃない。あれは、ジャンルというジャンルの奥底にウイルスを仕込んでいった文学的病原体だ。 構造が異常、語りが異常、結末が異常。30年以上経っても、いまだにこの作品の症状は日... -
『車井戸は何故軋る 横溝正史傑作短編集』- この一冊で横溝正史を堪能できる、悪夢の遊園地
横溝正史と聞いてまず思い浮かぶのは、やっぱり『犬神家の一族』や『八つ墓村』といった、金田一耕助シリーズの長編作品だろう。 霧に煙る村、血に塗れた旧家、やたらと多い遺産相続争い、そしてなによりも、ボサボサ頭の探偵・金田一耕助の活躍。あの世界... -
小島正樹おすすめミステリー小説7選 -トリック盛りすぎ注意報!やりすぎにも限度ってものがあるだろ……
ミステリ好きなら一度は出会ってほしい作家、それが小島正樹(こじま まさき)だ。 ただし、普通の本格ミステリを想像して読み始めると、すぐに面食らうかもしれない。なにせこの人、最初から最後まで「謎・謎・謎」のジェットコースター状態。 死体は何度... -
【殊能将之】『ハサミ男』に驚いたあなたへ。次に読むべき「石動戯作シリーズ」へのご案内【作品紹介】
『ハサミ男』は傑作だ。 あれでミステリの沼に突き落とされた人も多いと思う。 でも、殊能将之(しゅのう まさゆき)は、たった一発屋で終わるような作家じゃない。むしろあれは、すべての始まりだったのだ。 というわけで紹介したいのが、【石動戯作(い... -
【傑作選】面白いおすすめ国内ミステリー小説100作品のリスト【改正版】
この記事は、 【殿堂入り】最強に面白い国内ミステリー小説おすすめ50選【名作選】 【2024最新版】究極に面白い国内ミステリー小説おすすめ50選【最近の新刊】 の二つの記事でご紹介したミステリー小説を、短く簡潔にまとめ、リストにしたものである。 あ... -
『我孫子武丸犯人当て全集』- ミステリ愛好家に捧げる、最上級の挑戦状【読書日記】
まず断っておくが、この本は“読む”ものではない。“戦う”ものである。 『我孫子武丸犯人当て全集』 なんとも潔いタイトルだけど、中身はそれ以上にストイックで知的なリングだった。 相手は、あの『殺戮にいたる病』で読者の認知をぶっ壊した男であり、『か... -
2025年9月に読んで特に面白かった本15冊 – アンソニー・ホロヴィッツ『マーブル館殺人事件』ほか
2025年9月に読んだ本の中から、これは面白い!と思った15冊を紹介するよー。 ・2025年8月に読んで特に面白かった本17冊 – パーシヴァル・エヴェレット『ジェイムズ』ほか ・2025年7月に読んで特に面白かった本10冊 – 夜馬裕『イシナガキクエを探しています... -
青崎有吾『裏染天馬シリーズ』完全ガイド|名探偵×オタク=最強ロジック!現代のエラリー・クイーンが描く本格が面白すぎる
現代ミステリのど真ん中で、ずっとしっかり光ってる作家がいる。 それが青崎有吾(あおさき ゆうご)だ。 1991年生まれで、デビュー作『体育館の殺人』で鮎川哲也賞を取ったのが2012年。大学生の頃だった。若い探偵作家の登場に、「本格ミステリ、まだいけ... -
奥田英朗『伊良部シリーズ』紹介 – 最強の処方箋? 日本で最も奇妙なクリニックへようこそ
「いらっしゃーい!」 甲高い声で迎えられる伊良部総合病院・地下の神経科。 でもそこに待っているのは、癒しも共感もまるでない。患者たちを出迎えるのは、白衣にぽっちゃり体型、注射大好きでマイペースすぎる精神科医・伊良部一郎(いらぶいちろう)だ...