新着記事
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【自作ショートショートNo.66】『のっとる呪文』
冒険家のアドは古びた地図を頼りに森の中を進んでいた。 昼間だというのに、茂った木々に日光を遮られて辺りは薄暗い。 膝辺りまで伸びた草を踏み荒らしながら、ぐんぐん森の奥深くへと進んでいく。 時折、木の根に足を取られながらも、その足取りは力強い... -
『霊魂の足』- 戦後の時代背景のもとで起きた事件に迫るミステリ短編集
本作は、昭和21年に起きた事件をもとに、終戦後まもなくの複数の出来事を描いた物語です。 隣客の古いトランクを入れ替える男を尾行して、行動の動機を探る謎解き物語『怪奇を抱く壁』や、読者のミスリードへと繋げる巧妙なトリックが仕掛けられた『緑亭の... -
【自作ショートショートNo.65】『平等な国』
この小さな国ではすべての国民が、そっくり同じ形の家に暮らしている。 違っているのは扉にでかでかと刻まれた番地だけ。 外観だけでは区別がつかないので、この番地で自分の帰る家を見分けているのだ。 幼い子供たちの間では、番地の数字を頼りに友達の家... -
佐藤青南『犬を盗む』- 殺された資産家老女の愛犬が知る真実とは?
高級住宅街で一人暮らしをしている老女が、何者かに殺害された。 預金通帳や現金が盗まれており、金品目的の犯行かと思われたが、現場には不審な点があった。 犬を飼っている形跡があるのに、その犬がどこにも見当たらないのだ。 まさか犯人は犬も一緒に盗... -
【自作ショートショート No.64】『傲慢な女』
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁれ?それはもちろん私だわ。うふ」 そうよ、私はこの世の誰よりも美しいの。 でもこの美貌を維持するには、もっともっとお金が必要。 ううん、お金だけじゃないわ。私に釣り合うステキな王子様も必要よね。 マリアは... -
矢樹純『マザー・マーダー』- 全方位に仕掛けられた罠に、あなたは何度も騙される
ある日、中古住宅に引っ越してきた瑞希は、来月で1歳半になる陽菜の育児で忙しい日々を送っていた。 瑞季が住んでいる地域には高齢者の住人が多かったため、時間帯によっては車通りも少なく、静かな空間を作り出していた。 そんなとき、隣の家に住んでいる... -
【自作ショートショート No.63】『死ねない男』
「う、うわあああ」 ふぅ、た、助かった。どうにか雪崩には巻き込まれずに済んだようだ。 「だ、誰か助けてくれー。おーい」 何時間経ったんだろうか。雪崩を避けたはいいものの、俺は崖から転がり落ちてしまっていた。 「おーい、誰かいないかー。俺はこ... -
刀城言耶シリーズの読む順番と魅力などを語りたい【三津田信三】
三津田信三さんのミステリー小説「刀城言耶シリーズ」の順番やあらすじ、感想などをご紹介させていただきます。 ホラー小説が好き! ミステリー小説も好き! ならば三津田信三さんの「刀城言耶シリーズ」を読みましょう! このシリーズはミステリー小説で... -
【自作ショートショート No.62】『悪魔のちから』
街灯ひとつない、夜の路地。 仕事帰りの青年は、とぼとぼと帰路についていた。 彼は一流企業の社員だが、まだ新卒二年めで、毎日、上司にこっぴどく叱られていた。 こんなことなら、車にでも轢かれたい。 そう思って横断歩道をわたっていると、急に角から... -
西村京太郎『七人の証人』 – 無人島で再現される殺人事件の真実とは?
ある殺人事件で無実を訴えながらも有罪となった男が獄中で病死した。 当時ブラジルにいた父親は事件を知らず、帰国後事件の再検証を試みる。 なんとその方法は、全財産をかけて無人島に町の一部をそっくり再現するというものだった。 その無人島に集められ...