新着記事
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読書日記
H・G・ウェルズ『タイム・マシン【新版】』- 未来へ行ったはずなのに、見えてくるのは人間の古さだった
未来へ行く話のはずなのに、この小説が本当に見せてくるのは、人類のいちばん古くて厄介な癖なのかもしれない。 H・G・ウェルズ『タイム・マシン』を【新版】で読み返して、あらためてそう思った。 タイムトラベルSFの元祖としてあまりにも有名なので... -
読書日記
小松立人『そして物語のおわりに』- 孤島、館、バラバラ死体。極上のフルコースに混じった整いすぎない本格【読書日記】
小松立人『そして物語のおわりに』は、とてもまっすぐに本格ミステリをやっている小説だ。 しかも、ただ古典の型を大事に並べました、というだけでは終わらない。孤島、館、外部と切り離された状況、奇妙な死体、限られた容疑者たち。 こうして並べると、... -
国内ミステリー小説
小松立人『そして誰もいなくなるのか』- 人生大逆転にはほど遠い、あまりに「せこい」地獄のルール
小松立人『そして誰もいなくなるのか』は、かなり性格の悪い小説である。 もちろんこれは褒め言葉だ。こういう小説は大好きである。 設定だけ抜き出すと、死神に一週間の猶予を与えられ、そのあいだ仲間を殺すと相手の寿命を少しだけ奪える、という話だが... -
読書日記
春海水亭『入居者全滅事故物件』- 盛りすぎ設定が最後まで本気で走り切る、暴走したホラーの怪作【読書日記】
まずタイトルからしてずるい。 『入居者全滅事故物件』。 こんなの、気にならないわけがない! 事故物件だけでも目を引くのに、そこへさらに入居者全滅まで乗せてくる。いくらなんでも盛りすぎだろう、と半分あきれながら手に取ることになるのだが、読んで... -
読書日記
饗庭淵『対怪異アンドロイド開発研究室2.0』- アンドロイド・ジョークの隙間に潜む、救いのない現実のズレ【読書日記】
怪異とアンドロイドを一緒に出されたら、そりゃ気になる。 しかも舞台は開発研究室で、タイトルの最後には2.0までついている。盛り方がかなり景気いい。こういう小説は、題名の勢いだけで走ってもおかしくないのだが、このシリーズはそこが違う。 饗庭淵『... -
国内ミステリー小説
有栖川有栖『火村英生シリーズ(作家アリスシリーズ)』全作品の評価と読む順番とおすすめの話
本格ミステリが好きなら、一度は通ることになるシリーズがある。 有栖川有栖の「火村英生シリーズ(作家アリスシリーズ)」だ。 英都大学の臨床犯罪学者・火村英生と、推理作家であり語り手でもある有栖川有栖(通称アリス)。この二人のコンビが、奇妙な... -
傑作小説エッセイ
【祝!本屋大賞受賞】なぜ、朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』は、この時代のど真ん中を射抜けたのか
朝井リョウは、ずっと現代の居心地の悪さを書くのがうまい作家さんだと思っている。 しかも、単に流行を取り上げるのではなく、その流行の奥にある、人がどうやって生き延びているのか、どこで苦しくなっているのかまで掘ってくる。 だから読んでいて楽し... -
海外ミステリー小説
『爬虫類館の殺人【新訳版】』- ジョン・ディクスン・カーが目張りの密室で本気を出すとこうなる【読書エッセイ】
ジョン・ディクスン・カーを読んでいると、たまに笑ってしまうことがある。 もちろん作品を茶化しているのではなく、そこまで本気で不可能犯罪をやるのか、と妙にうれしくなってしまうのである。 密室だの消失だの、黄金時代ミステリにはいろいろな名物が... -
読書日記
山白朝子『スコッパーの女』- 創作という名の呪い、あるいは発掘という名の加害、あるいは小説家という名の怪異について【読書日記】
山白朝子の新作が読める。その事実だけでうれしいはずなのに、同時に少し怖くもなる。 しかも今回は『スコッパーの女』である。題名だけでもう、何か掘り返してはいけないものを掘り返しそうな気配が濃い。 そして実際そうだった。かなり怖い。だが、本作... -
読書日記
蒼井碧『永久凍土の密室 マンモス殺人事件』- マンモスという大ネタを、論理で最後まで貫くという贅沢【読書日記】
蒼井碧『永久凍土の密室 マンモス殺人事件』。 この題名はずるいと思った。 マンモス殺人事件、である。こんなもの素通りできるわけがない。 しかも舞台は永久凍土、そして密室。巨大な絶滅動物、閉ざされた空間、時をまたぐ物語。 字面の段階でもうかな...
