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阿津川辰海おすすめミステリー小説7選 -「え、それアリ?」が全部アリになる、最前線の本格ミステリ作家
今いちばん勢いのある本格ミステリ作家は誰? と聞かれたら、真っ先にこの名前を挙げたい――阿津川辰海(あつかわ たつみ)。 2017年に『名探偵は嘘をつかない』でデビューしてからというもの、「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」な... -
『廃集落のY家』- これは霊の話じゃない。もっと生々しくて、もっと足元をすくう何かの物語だ【読書日記】
現代ホラーの怖さは、何も血まみれの化け物や悲鳴だらけの展開だけじゃない。むしろ、ありふれた日常が静かにずれはじめる瞬間にこそ、本当の恐怖は潜んでいる気がする。 『廃集落のY家』も、冒頭は拍子抜けするほど穏やかだ。大学の新歓合宿。まだ春の空... -
『正しい世界の壊しかた:最果ての果ての殺人』- ルールごとひっくり返す!特殊設定ミステリの快楽、ここに極まれり【読書日記】
彩藤アザミ。 この名前を聞いて、「誰だろう?」って首をかしげる人もいれば、「ああ、あのホラーとミステリ混ぜるのうまい人ね」ってすぐ反応する人もいるはず。自分は完全に後者だし、しかもけっこう前から追っかけている。 で、今回の新作『正しい世界... -
ジェフリー・ディーヴァー『ウォッチメイカーの罠』-「どんでん返しの帝王」が仕掛けた、20年越しの頭脳戦
読書中に何度も「そう来たか!」と唸らされた経験、どれくらいありますか? ジェフリー・ディーヴァーの小説を読むってのは、その驚きの連続に身を投げ込むようなものだ。 特に『ウォッチメイカー』と、その約20年後に登場した続編『ウォッチメイカーの罠... -
『眠れるアンナ・O』- 4年間眠りっぱなしの容疑者? この設定、反則級に引き込まれる【読書日記】
「人は人生の3分の1を眠って過ごす」なんてのはよく聞くけど、ブレイクはそこからもう一歩踏み込む。 「じゃあ、その間に人は何ができる?」と、ちょっと挑発的な質問を投げてくる。この時点で「この人ただのスリラー作家じゃないな」と思った。 で、本題... -
『ラミア虐殺』- 伝説のミステリ、復刊!でもこの本、最後まで読めると思わないで
2025年4月、『ラミア虐殺』が光文社文庫から復刊された。 このニュースを見て、「まさか」と思った人も少なくないはずだ。 だってこの作品、初版は2003年。20年以上ものあいだ、古本屋とネットオークションの世界で〈伝説の獣〉として語り継がれてきたのだ... -
「あしか汁」って何だ?と口にした瞬間から、あなたは終わり――三浦晴海の呪われた記録【読書日記】
三浦晴海『なぜ「あしか汁」のことを話してはいけないのか』。 タイトルを見た瞬間から、何とも言えない違和感が喉の奥に引っかかる。 あしか汁? なんだその昭和の漁師町にありそうなメニューは。 ほっこりした郷土料理の本かと思いきや、これが全然ほっ... -
白井智之おすすめミステリー小説10選 – 「鬼畜」と「本格」の狭間で炸裂する、特殊設定ミステリの神
ミステリが好きで、ちょっとくらいのグロや悪趣味には耐性がある――そんな人なら、白井智之(しらい ともゆき)を読まないなんてもったいない。 この作家、デビュー作からしてすでに狂っている(褒め言葉)。 第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補作『人間... -
『アミュレット・ワンダーランド』- 殺し屋も泊まるホテルで、探偵は掟を守りながら推理する【読書日記】
最初に言っておくと、このホテル、チェックインした瞬間から現実感が吹き飛ぶ。 名前は「アミュレット・ホテル」。 殺し屋、詐欺師、窃盗団…とにかく職業の欄に書いたらその場で警察を呼ばれそうな人たちが、悠々とロビーを歩いている。普通のホテルの「お... -
『堕ちた儀式の記録』-「これは本当にフィクションか?」って思った時点でもう遅い【読書日記】
最初に言っておく。この本は、小説じゃない。いや、小説なんだけど、たぶん違う。 ページをめくってると、物語を読んでるって感覚がどんどん薄れていって、「これは……どこかで本当に起きたんじゃないか?」と思えてくる。それくらい、読後感が不気味に残る...