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『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』- タイトルで全部バラしてるのに、こんなに面白いなんてズルい【読書日記】
このタイトルを見て、読まない選択肢があるだろうか? 『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』。 あまりにストレートすぎて、逆に怪しい。でも読んでみると、タイトル以上の驚きが次々に飛び出してくる。ベンジャミン・スティーヴンソンという名前は、今後... -
2025年6月に読んで特に面白かった小説7冊 – 小倉千明『嘘つきたちへ』ほか
今月は25冊本を読んだ。 その中から「特に」面白かったおすすめ小説を7作品に絞ってご紹介するよ。 小倉千明『嘘つきたちへ』 小倉千明『嘘つきたちへ』は、「嘘」をテーマにした5編から成る短編集だ。デビュー作ながら第1回創元ミステリ短編賞を受賞して... -
【徹夜本】読み始めたら止まらない、寝不足確実の超面白い一気読み小説50作品
睡眠は大切だ。 それは誰もが知っている。 睡眠不足が体に悪いことも、翌日のパフォーマンスに響くことも、頭ではしっかり分かっている。 しかし、夜更けに手に取った一冊の小説が、そんな理性を軽やかに飛び越えてしまう瞬間がある。 「そろそろ寝なきゃ... -
結城真一郎『どうせ世界は終わるけど』- 希望という名の小惑星が落ちてくる、そのとき僕らは何をするのか。【読書日記】
結城真一郎という名前を聞いて、まず思い出すのはあの鋭利な〈どんでん返し〉と、社会を映す冷徹な視線だ。 『#真相をお話しします』の読後に味わう、軽いめまいのような感覚。ミステリの文法を知っている者ほど深くえぐられる“黒結城”の毒。それは確かに... -
キャロル・グッドマン『骨と作家たち』- 雪に閉ざされ、物語に閉じこめられた私たちへ
追悼式なのに、なぜ誰かがまた死ぬのか 閉ざされた場所には、人の心をほどく力があるのかもしれません。 あるいは、逆に、人の奥底に隠していたものを容赦なく引きずり出す力があるのかもしれません。 キャロル・グッドマンの『骨と作家たち』の舞台は、ニ... -
1932年の奇跡 – エラリー・クイーンおすすめ4大傑作をご紹介
1932年――それは、推理小説の歴史において特別な輝きを放つ、まさに「奇跡の年」として記憶されています。 世界が大恐慌の暗い翳に包まれ、ナチズムの台頭や満州国の建国など、激動と不安が渦巻いていたその年、一人の作家が、静かに、けれど驚くほど鮮烈に... -
麻耶雄嵩『メルカトル鮎シリーズ』徹底解説|おすすめ・魅力・見どころ・読む順番
麻耶雄嵩氏は、日本のミステリ界において、常に挑戦的な「問題作」を世に問い続けてきた、極めて稀有な作家です。 読者の予測を鮮やかに裏切り、既存の枠組みを意図的に攪乱するその作風は、しばしば「異端」と評されながらも、ひときわ強い光を放ち続けて... -
飛鳥部勝則『堕天使拷問刑』- 禁断の問題作にして幻の傑作、再び。
飛鳥部勝則氏は、1964年に新潟県に生まれ、新潟大学大学院教育学研究科を修了された異色の経歴を持つ作家です。 1998年、『殉教カテリナ車輪』にて第9回鮎川哲也賞を受賞し、以来、ミステリという形式の中に独自の美学と倒錯を織り込んだ作品群で、多くの... -
ジョン・ディクスン・カーおすすめミステリ10選 – 密室と怪奇の巨匠、その魅力と傑作選
ジョン・ディクスン・カーは、ミステリ黄金時代を象徴する作家のひとりであり、特に「密室殺人」という一見不可能な状況下の犯罪において、空前絶後の高みに到達した人物として知られています。 その想像力は、ただ巧妙というだけではありません。 読者の... -
その一言が、沈黙の底を割った―― アガサ・クリスティ『葬儀を終えて』【エッセイ】
誰かの死が、すべての終わりであるとは限りません。 むしろ、それは、ある物語の静かな始まりなのかもしれません。 アガサ・クリスティの『葬儀を終えて』は、まさにそんな“余白から始まる”物語です。 コーニッシュ地方のエンダビー荘。 重々しい天蓋の下...