『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』- スパイとマフィアが絡む大事件に、老人探偵たちが挑む

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高齢者施設クーパーズ・チェイスに住む木曜殺人クラブのメンバーたちは、毎週木曜日に集まり、過去の未解決事件を推理して楽しんでいた。

その一人である元諜報員エリザベスのもとに、死んだはずの元夫ダグラスから連絡がきた。

どうやらダグラスは、二千万ポンド相当のダイヤを盗んだ疑いで追われているらしい。

そのダイヤは、米国マフィアがビジネスマンのマーティに預けたもので、ダグラスは折悪くマーティンの家で潜入調査しており、疑いをかけられたのだという。

マーティンとマフィアの両方から狙われることとなったダグラスは、困り果てて元妻のエリザベスに匿うよう頼む。

木曜探偵クラブの面々は、迫り来るマフィアを相手取りつつ、真相究明に奔走することに―。

目次

死んだはずの夫が事件を持ってきた

『二度死んだ男』は、「木曜殺人クラブ」シリーズの待望の第二弾です。

このシリーズの一番の特徴は、メインキャラクター4名が全員70歳以上のシニアというところ。

元諜報員や元精神科医などバラエティに富んだお年寄りたちが登場し、様々な事件に巻き込まれては、すったもんだの末に見事に解決していくという痛快コメディなのです。

みんなヨボヨボなのに、めいいっぱいアクティブにクレバーに立ち回るので、読んでいて元気をもらえるシリーズですよ。

さて第二弾の『二度死んだ男』では、タイトル通り死んだはずの男性が登場します。

しかもメインキャラクターである元諜報員エリザベスの元夫だというのだから、ビックリ!

エリザベスの過去については第一弾では謎のヴェールに包まれていたので、それが明らかになるなんてワクワクしますよね。

その上死んだはずの元夫が出てくるとか、二千万ポンド相当(日本円で約四十億!)のダイヤを盗んだ疑いがかけられているとか、ワクワク要素がたっぷりで胸が躍ります。

さらに、元夫にはMI5の護衛がついていたのに射殺され、ダイヤのありかを知る者が誰もいなくなってしまいます。

かくして木曜殺人クラブは、マフィアに追いかけられながらダイヤの行方を追うことに。

メンバーたちは、たくさんのピンチに見舞われながらも、すごく楽しそうです。

何より年の功的な頭の使い方やテクニックが絶妙すぎて、読者は面白さに目を離せなくなりますよ。

暴漢騒ぎや密売人の逮捕劇も

『二度死んだ男』では、ダイヤ盗難事件とは別に複数の事件やエピソードが同時進行しており、これらが物語をさらに面白く盛り上げています。

たとえば、木曜殺人クラブの一員である元精神科医イブラヒムが、若い三人組に襲われる事件。

メンバーの中で一番大人しく内向的なイブラヒムが、頑張って外出してみたところ、思いがけなく楽しく過ごせて、幸せな気分で帰宅する途中で襲われるのです。(可哀想!)

しかもスマホを強奪された上、大怪我まで負わされ、その上犯人が証拠不十分とのことで釈放されたものだから、イブラハムはすっかり落ち込んで引きこもってしまいます。

そこでクラブの他のメンバーが、イブラハムに代わって仕返しに行くのです。

その方法がもう、策を練りに練った大逆襲という感じで、姑息を通り越してえげつなく、スカッとするどころか逆に心配になるくらい(笑)

他にも、元看護士のジョイスが編んだ友情ブレスレットのエピソード、地元警察がドラッグの密売人を追うエピソードなども描かれています。

それぞれに山あり谷ありで面白いですし、同時進行しているためドタバタ感のあるところがまた魅力。

登場人物たちがアワアワしている様子に、読者まで一緒に焦ってしまいますし、笑ったり応援したくなったりするシーンも満載。

そして終盤になると、ダイヤ事件を始めとした諸々の件が一気に解決していきます。

これがまた一癖も二癖もある片付き方で、それでいて人情味もあって、読んだ後はきっと「本当に面白かった~!」と満面の笑みで本を閉じることができますよ。

老後が楽しみになる、元気溢れる作品

「木曜殺人クラブ」シリーズは、イギリスで大ブレイク中のベストセラー・ミステリーです。

日本でも、シリーズ第一弾は「このミステリーがすごい!」や「週刊ミステリーベスト10」など各種ランキングで上位にランクインしました。

シニアたちが明るく賢く生き生きと活躍する様子は、現在の高齢化社会において、まるで元気をくれるビタミン剤のようであり、そこが人気の理由のひとつなのだと思います。

そしてシリーズ第二弾である本書『二度死んだ男』も、やはり元気が溢れる傑作であり、世界的に注目されています。

エリザベスを始めとした主人公たちの、シニアならではの豊かな知恵と深い思慮はミステリーとして魅力的ですし、そこに頑固さや偏屈さといった、これまたシニアならではの要素が加わることで、コメディとしての魅力も増し増しなのです。

さらに老い先短い身だからこそできる命知らずの大奮闘は、アクションやエンターテイメントとしても抜群に面白くて読み手をハラハラさせつつ楽しませてくれます。

読んでいるうちに、「こういうスーパーおじいちゃんやスーパーおばあちゃんになれたら楽しそうだな」と、老後の人生がなんだか楽しみになってくるくらい!

日々の疲れや老いへの不安を吹き飛ばしてくれるような作品ですので、晴れやかな気分になりたい時などに、ぜひ読んでみてくださいね。

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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