海外ミステリー小説– category –
-
『夜明けまでに誰かが』- 8時間の密室地獄へようこそ。閉じた車内で、人間はどこまで人間でいられるか【読書日記】
ホリー・ジャクソンの名前を聞くと、まず思い浮かぶのは『自由研究には向かない殺人』だ。 高校生探偵ピップの華麗な推理劇に胸を躍らせた読者は多いと思う。あれは正統派の「フーダニット(誰がやったか)」、つまり犯人探し型ミステリーだった。 しかし... -
『ハンニバル・レクター博士の優雅なお料理教室』- 食べたくないのに食べてみたい、サイコパスを極めた料理本
誰だって一度は「ハンニバル・レクター」という名前を耳にしたことがあるはずだ。 映画『羊たちの沈黙』の名優ホプキンスが演じた、あの上品で残酷なカニバリスト。彼は殺人鬼なのにやけに知的で、丁寧な言葉遣いと美食への執着が妙に魅力的だった。 そん... -
『#ニーナに何があったのか?』- ハッシュタグが裁く真実、親たちが背負う地獄【読書日記】
大学生のニーナとサイモン。あの週末、誰もが想像するような若いカップルの休暇だったはずだ。山間の別荘、恋人同士、自然の中でのんびりと過ごす休日。 でも、その週末が終わったときに帰ってきたのはサイモンだけだった。ニーナは姿を消した。そしてそれ... -
2025年7月に読んで特に面白かった本10冊 – 夜馬裕『イシナガキクエを探しています』ほか
2025年7月に読んだ本の中から、特に面白かった10冊をピックアップした。 暑い日にゴロゴロしながら読んだものもあれば、気づけば夜更かしして一気に読み切ったものもある。 ジャンルはミステリー中心だけれど、今月はホラーが大当たりばかりだった。 そん... -
『9人はなぜ殺される』- 静かな日常に、突然突きつけられる「死のリスト」【読書日記】
もし、ある日突然、自分の名前が「死のリスト」に載っていたらどうする? ピーター・スワンソン『9人はなぜ殺される』は、そんな悪夢のような設定から始まる物語だ。タイトルからして嫌な予感しかしないんだけど、内容はその想像を軽く飛び越えてきた。 物... -
『密室』が凄いミステリー小説おすすめ50選 – 古典から現代まで、絶対に読んで損なしの決定版
ミステリーといえば、やっぱり外せないのが〈密室〉だ。 鍵がかかった部屋の中で死体が見つかる、誰も出入りできるはずがないのに犯行が成立してる――あの「どうなってんだよ?」ってなる瞬間がたまらない。 密室トリックって、作者と読者の真剣勝負みたい... -
『イーストレップス連続殺人』- 黄金期ミステリなのに、やたら現代的な早すぎた傑作
静かな海辺の町が、ひとりの殺人鬼によって崩壊していく。 フランシス・ビーディング『イーストレップス連続殺人』は、そんな悪夢のような連続殺人の記録だ。 1931年の古典ミステリだけど、2025年6月に日本で初めて翻訳された文庫が発売されたのだ。嬉しい... -
『暗殺依存症』- 最強の殺し屋が「殺さない」を選んだときに始まる、魂のロードムービー【読書日記】
世界最高の殺し屋が殺しをやめると決めたとき、彼が頼ったのは「アサシンズ・アノニマス(AA)」という、殺し屋を更生させるグループだった――この設定を聞いただけで、もう面白い。 ロブ・ハートの『暗殺依存症』は、この突き抜けた発想を基盤に、アクショ... -
『パラドクス・ホテル』- チェックインした瞬間から、現実がぐらつき始めるSFミステリ【読書日記】
タイトルに惹かれて読み始めたら、そこはただのホテルじゃなかった。 ロブ・ハートの『パラドクス・ホテル』は、時間旅行が観光ビジネスになっている2072年の近未来を舞台に、クローズド・サークルミステリ、社会風刺、SF、ラブストーリー、全部をひとつの... -
『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』- タイトルで全部バラしてるのに、こんなに面白いなんてズルい【読書日記】
このタイトルを見て、読まない選択肢があるだろうか? 『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』。 あまりにストレートすぎて、逆に怪しい。でも読んでみると、タイトル以上の驚きが次々に飛び出してくる。ベンジャミン・スティーヴンソンという名前は、今後...