海外ミステリー小説– category –
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ドゥーセ『スミルノ博士の日記』- 秘めたる日記、驚愕の「仕掛け」
ミステリというジャンルは、読者の知的好奇心を刺激し、論理の迷宮へと誘う魅力に満ちています。その歴史の中には、時代を超えて輝きを放つ古典作品が数多く存在します。 今回ご紹介するサムエル・アウグスト・ドゥーセ著『スミルノ博士の日記』は、まさに... -
奇妙奇天烈な極上の「謎解き」- マルティネスが放つ最高峰本格ミステリー『アリス連続殺人』
アルゼンチン出身の作家ギジェルモ・マルティネス氏は、数学者としての顔も併せ持つ人物です。この知的な背景は、単なる経歴にとどまらず、彼の作品に独特の深みと論理性を与える重要な要素となっています。厳密な思考と文学的な技巧が交差する場所に、マ... -
どんでん返し好き必読の短編集『クリスマス・プレゼント』『ポーカー・レッスン』
「どんでん返しの魔術師」として世界中のミステリファンを魅了するジェフリー・ディーヴァー。彼の名前を聞いて、まず『ボーン・コレクター』などを始めとした科学捜査官リンカーン・ライムが活躍する長編シリーズを思い浮かべる方も多いでしょう。 しかし... -
獣たちの都市に潜む殺意- 『動物城2333』が描くディストピアの犯罪
現代中国文学シーンから登場した注目すべき一作、荷午(カゴ)、王小和(オウショウワ)による長編小説『動物城2333』。 本作は、1992年生まれの脚本家・ゲームクリエイターである荷午氏にとって初の長編であり、ミステリ愛好家で脚本翻訳なども手掛ける王... -
【イヤミス】後味が悪い小説おすすめ40選【バッドエンド】
小説を読み終えたとき、胸にじんわりと温かな余韻が広がることもあれば、逆にどうしようもない不快感や、やりきれなさに襲われることもあります。 とりわけ後者のような感覚を与える作品群は「イヤミス」と呼ばれ、独特の魅力を放っています。 「イヤな気... -
『隣の家の少女』- 禁断の扉を開ける衝撃作:ジャック・ケッチャムの深淵
ホラー小説というジャンルには、読者の心臓を掴み、精神を深く揺さぶる力を持つ作品が存在します。その中でも、ジャック・ケッチャムによる『隣の家の少女』は、単なる恐怖を超えた、人間の暗黒面と社会の病理を抉り出す問題作として、発表以来、絶えず議... -
『ブラウン神父の不信』- これを読まずしてブラウン神父は語れない傑作「犬のお告げ」「ムーン・クレサントの奇跡」
G・K・チェスタトンの『ブラウン神父の不信』は、ブラウン神父シリーズの中でもひときわ異色の作品集です。本書に収められた短編は、いずれも「信仰とはなにか」「奇跡とはなにか」といった重厚なテーマを、ユーモアと逆説の技法で描き出しています。 タイ... -
クリスティン・ペリン『白薔薇殺人事件』- 大叔母はなぜ殺された?60年分の日記に真相が潜む
アニーは、ミステリー作家を夢見て執筆に打ち込む25歳。 ある日唐突に、疎遠だった大叔母・フラニーに呼び出され、キャッスルノール村を訪れる。 大叔母は大変な資産家だが、村では変人扱いされていた。 若かりし頃に占い師に「いつか殺される」と予言され... -
アンソニー・ホロヴィッツ『死はすぐそばに』- 高級住宅地での殺人に、住民たちは揃って口を閉ざし…
その事件が起こったのは5年前、テムズ川沿いの高級住宅地リヴァービュー・クロースだとホーソーンは言った。 きっかけは、金融業者のケンワージーが引越してきたこと。 この迷惑な新参者が来て以来、仲が良かった住民たちの雰囲気が悪くなり、トラブルが増... -
アリッサ・コール『ブルックリンの死』- 街の歴史から紐解く都市再開発の影
舞台となるのは、ブルックリンの古き良き時代の住宅街。 その町で生まれ育ったシドニーは、隣人の顔が次々と変わっていくことに気がつく。 そして、彼女は新住民のセオと手を組み、この謎を解明していくべく町の歴史を辿る冒険へ出かける。 ただ、その道中...