国内ミステリー小説– category –
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貫井徳郎『不等辺五角形』- 私が殺したの。――その一言から全てが崩れ始める【読書日記】
二十年以上続いた絆は、ひと晩で簡単に形を変える――それがこの物語の始まりだ。 貫井徳郎『不等辺五角形』は、読み始めたときの空気と、読み終えたときの空気がまるで違う。 最初は爽やかな夏の海辺、旧友たちの再会、葉山の別荘という閉ざされた空間。い... -
『密室』が凄いミステリー小説おすすめ50選 – 古典から現代まで、絶対に読んで損なしの決定版
ミステリーといえば、やっぱり外せないのが〈密室〉だ。 鍵がかかった部屋の中で死体が見つかる、誰も出入りできるはずがないのに犯行が成立してる――あの「どうなってんだよ?」ってなる瞬間がたまらない。 密室トリックって、作者と読者の真剣勝負みたい... -
歌野晶午おすすめミステリー小説15選 – 騙し、泣かせ、裏切ってくる。歌野晶午って、そういう作家だ
歌野晶午の小説は、一言でいえば「容赦がない」。 ミステリとしてしっかり面白いのは当然として、読者の心をえぐってくるような展開も平気で突っ込んでくる。 きれいに伏線を回収してくれるし、ロジックも抜群にキレている。でも、それだけじゃ終わらない... -
小林泰三おすすめ小説15選 – ミステリ、ホラー、SF、全てが最高峰の作家
小林泰三(こばやし やすみ)の小説を一言で説明するのは難しい。 ホラーを読んでいたはずが、いつのまにか本格ミステリになっている。SFだと思っていたら、哲学的な問いが突きつけられる。 ジャンルの境界なんて最初から無視しているような作風だが、それ... -
『交番相談員 百目鬼巴』- そのおばさん、尋常じゃない。『教場』の著者が描く新たな警察ミステリ【読書日記】
長岡弘樹(ながおか ひろき)という作家の名前を聞くと、まず思い出すのはやっぱり『教場』。 あの、警察学校を舞台にした緊張感たっぷりの物語は、多くの読者の心に残っているはず。そんな彼が次に選んだ舞台が「交番」だなんて、ちょっと驚きじゃない? ... -
五条紀夫『町内会死者蘇生事件』- 殺したはずのクソジジイが、生きてラジオ体操に現れた朝【読書日記】
「誰だ! せっかく殺したクソジジイを生き返らせたのは!?」 ――これがこの物語の第一声であり、読者への宣戦布告でもある。 こんなにパンチの効いた書き出し、なかなかない。 五条紀夫の『町内会死者蘇生事件』は、タイトルも設定もぶっ飛んでる。そのくせ... -
2025年6月に読んで特に面白かった小説7冊 – 小倉千明『嘘つきたちへ』ほか
今月は25冊本を読んだ。 その中から「特に」面白かったおすすめ小説を7作品に絞ってご紹介するよ。 小倉千明『嘘つきたちへ』 小倉千明『嘘つきたちへ』は、「嘘」をテーマにした5編から成る短編集だ。デビュー作ながら第1回創元ミステリ短編賞を受賞して... -
【徹夜本】読み始めたら止まらない、寝不足確実の超面白い一気読み小説50作品
睡眠は大切だ。 それは誰もが知っている。 睡眠不足が体に悪いことも、翌日のパフォーマンスに響くことも、頭ではしっかり分かっている。 しかし、夜更けに手に取った一冊の小説が、そんな理性を軽やかに飛び越えてしまう瞬間がある。 「そろそろ寝なきゃ... -
結城真一郎『どうせ世界は終わるけど』- 希望という名の小惑星が落ちてくる、そのとき僕らは何をするのか。【読書日記】
結城真一郎という名前を聞いて、まず思い出すのはあの鋭利な〈どんでん返し〉と、社会を映す冷徹な視線だ。 『#真相をお話しします』の読後に味わう、軽いめまいのような感覚。ミステリの文法を知っている者ほど深くえぐられる“黒結城”の毒。それは確かに... -
麻耶雄嵩『メルカトル鮎シリーズ』徹底解説|おすすめ・魅力・見どころ・読む順番
麻耶雄嵩(まや ゆたか)という作家は、日本ミステリ界でも群を抜いてとんでもない存在だ。 毎回、読者の予想を鮮やかに裏切り、常識という常識を根っこから引き抜いていく。読者サービス? そんなもんは知らん、という顔でとことん自分の美学を貫いてく...