ホラー小説– category –
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知念実希人『ヨモツイクサ』- 禁域に潜む未知の生物が巻き起こす戦慄のバイオ・ホラー
北海道の「黄泉の森」と呼ばれる場所で、リゾート施設の開発中、作業員たちが突然行方不明になった。 作業場に残されていたのは破壊されたトラックや発電機、そして作業員のものと思われる内臓の一部。 さらに現場付近の土中で、食い荒らされた作業員たち... -
静かな狂気。シャーリイ・ジャクスンのおすすめ小説3選
海外ホラー小説に興味がある方には、ぜひシャーリイ・ジャクスンの作品を読んでいただきたい! 初めて『ずっとお城で暮らしてる』を読んだ時、私は「こんなホラー小説があるのか!」と衝撃を受けました。 巧みな人間描写を駆使し、日常の中に潜む人間の狂... -
貴志祐介『梅雨物語』- 終わりの見えない報いを受け続ける人々を描いたホラーミステリー
元中学教師で俳句部の顧問を務めていた作田のもとに、かつての教え子・萩原菜央が訪ねてくる。 話を聞くと、どうやら双子の兄の龍太郎が、自費出版した俳句集を残して自殺したらしい。 菜央は兄が詠んだ俳句の意味を知りたくて、作田に解釈を頼みに来たの... -
澤村伊智『ファミリーランド』- 近未来の技術に踊らされた人々をシニカルに描く短編集
AIで常に嫁を監視し、いびる義母。 優秀な子供を計画的に出産できる薬。 配偶者のあらゆる行動をモニタリングできる結婚指輪。 ロボットばかり大切にする娘に殺意を抱く母親。 介護の手間を減らすための、非人道的な処置。 バーチャルで行われる葬儀。 シ... -
矢樹純『マザー・マーダー』- 全方位に仕掛けられた罠に、あなたは何度も騙される
ある日、中古住宅に引っ越してきた瑞希は、来月で1歳半になる陽菜の育児で忙しい日々を送っていた。 瑞季が住んでいる地域には高齢者の住人が多かったため、時間帯によっては車通りも少なく、静かな空間を作り出していた。 そんなとき、隣の家に住んでいる... -
彩藤アザミ『不村家奇譚』- 唯一無二の筆致で描く、戦慄のホラーミステリー
東北の山奥に潜む古い家である不村家は、昭和から現代、未来永劫と血脈に囚われ続ける一族である。 不村家では人智を超える能力を持つ子が生まれることがあり、彼らはときに不村一族繁栄の兆しとされていた。 しかしその裏では、健常な人を憎む「あわこさ... -
異常性の極み。飴村行『粘膜シリーズ』の読む順番とかあらすじとか語ったり
初めて『粘膜人間』を読んだとき、飴村行さんは一体なぜこんなものを書いたのか?と疑問に思ったし、一体どのような人間がこの作品を喜んで読むのだろう、とも思った。 しかし読み終わった時の私は完全に「粘膜シリーズ」の虜になっており、狂おしいほどに... -
澤村伊智『怪談小説という名の小説怪談』- 怖いのに読むのをやめられない震恐のホラー短編集
8月14日の深夜、僕は複数の知り合いを乗せて、高速道路を運転していた。 途中、食事のためにサービスエリアに立ち寄った時、同乗者の一人が急に「思い浮かんだ」と言って、女性の絵を描いた。 左右の目がありえない方向を向いて笑っている不気味な女性の顔... -
神津凛子『スイート・マイホーム』- 読んだことを悔やむ「オゾミス」の名作
スポーツインストラクターの賢二は、寒がりの妻のためにたった1台のエアコンで家中を同じ温度で暖めることができる「まほうの家」を購入した。 実家のことが気がかりで事前に母に相談したものの、これまた意外にもあっさりと納得してくれた。 そのとき兄が... -
芦花公園『異端の祝祭』- カルト教団の不気味な背景に迫る新感覚ホラー
就職浪人生である島本笑美は失敗続きの毎日に疲れていた。 失敗の原因は自分でもよく分かっている、それは彼女の普通の人とは異なるとある点が原因だった。 ―そう、彼女には生きている人間とそうでないものとの区別がつかないのだ。 そんな不幸な体質の少...