陸秋槎『文学少女対数学少女』- 華文青春本格ミステリの新たなる傑作

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今作の主人公となるのは、高校2年生の文学少女である陸秋槎(りくしゅうさ)と、孤高の天才数学少女である韓采蘆(かんさいろ)の2人。

秋槎はひょんなことから、自作のミステリー小説の評価を采蘆に依頼します。

しかし、采蘆は秋槎ですら予想出来なかった真相を導き出して……。

犯人当てを巡る論理の探求「連続体仮設」や、数学史上最大の難問を小説化した「フェルマー最後の事件」など全4篇を収録した華文青春ミステリーの短編集。

目次

天才数学少女の視点から切り出される意外なダメ出しとは?

本作はあらすじの通り、文学少女である秋槎が自作のミステリー小説を天才数学少女である采蘆に読んでもらい、評価してもらうという所から始まります。

『文学少女対数学少女』というタイトルからして、「文学少女と数学少女が何かしらのきっかけで対立するのかな?」と思う方も多いと思いますが、実際は対決するわけではありません。

本作は全4篇が収録された短編集となっていますが、その全てに作中に出てくる小説、つまり作中作が出てくるというのが特徴です。

そして、その作中作に対して采蘆が数学的な切り口から意外なダメ出しや意見、推理を行っていきます。

また、その作中作は秋槎と采蘆が直面している現実の事件とも繋がっているというのも特徴です。

読者は「小説の中の世界」と「小説の中の小説の世界」という2つの世界を垣間見ることになるのが面白いポイントですね。

ミステリーと数学の意外な相性の良さに驚き

本作は先にもお伝えした通り、天才数学少女である采蘆が作中作や現実の問題に対し、数学的な知識を活用して解決していくというものです。

こう聞くと「文学少女の秋槎が小説の知識を活かして事件を解決するのはまだ分かるけど、ミステリーと数学知識の相性ってどうなの?」と違和感を感じる方も多いと思います。

しかし、実際に読み進めてみるとミステリーと数学の相性は非常に良く、物語の謎が理路整然と解き明かされていく様子はまるで分かりやすい講師の授業を見ているような気持ちになってきます。

思わず「は~なるほど」と溜め息をついてしまうこともあるでしょう。

また、作中には数学用語が多数登場しますが、数学知識がないと楽しめない作品というわけではありません。

数学に詳しくなくても読み物として十分楽しむことができ、数学の知識があればより深く楽しめるという構成になっているのも良い点です。

異色な要素が多い作品ではありますが、是非食わず嫌いせず読んでほしい作品の1つと言えます。

全4篇で飽きずにたっぷり楽しめる

本作は全4篇からなる短編集となっています。

小説をあまり読まないという方の中には、「話が長いと読んでいる途中でだれてしまう」という理由で苦手意識を持ってしまっている方もいると思います。

しかし、本作は1つ1つの話が読みやすい長さでまとまっているのでスムーズに読み切ることが出来るのがポイントです。

また、1冊で4つのお話が収録されているため、4つの違ったテイストを楽しむことが出来るというのも魅力です。

小説好きな方はもちろんのこと、小説を読むのが初めてという方や、小説に対して苦手意識を持っているという方にもオススメすることが出来る1冊となっています。

数学が苦手でも面白く読めちゃう!

『文学少女対数学少女』は、文学少女である秋槎が自作の小説の評価を自分よりも頭が良い人にお願いしたいという思いから、天才数学少女である采蘆に読んでもらうという所から始まる作品です。

1冊に全4篇が収録された短編集となっており、その4篇の中にはそれぞれ作中作が登場します。

そして、その作中作を通して采蘆が数学的な観点から謎を紐解いていくという作品です。

ミステリー×数学の相性は意外と良くて、采蘆の口から物語の謎が分かりやすく解き明かされていきます。

読んでいて読者を感心させてしまうような1冊になっているのも特徴です。

また、物語のキーマンである采蘆が数学少女である都合上、作中には数学用語が多数登場します。

しかし、数学の知識がないと楽しむことが出来ないというわけではないため、幅広い方々にオススメ出来る作品です。

4つのエピソードが収録されているという都合上、1つ1つのお話の文章量は少なめになっています。

そのため、「小説1冊のボリュームが多いせいで最後まで読むことが出来ず、途中でだれてしまう」という方でも問題なく読むことが出来るのが魅力です。

また、1冊で違ったお話を4つ読むことが出来るというのもお得感があります。

ミステリ小説好きな方はもちろんのこと、普段あまり小説を読まないという方や、1冊が長くて小説を最後まで読み切れないという方にもオススメ出来る良作です。

ぜひお手にとってみてくださいませ!(๑>◡<๑)

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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