やがみ『僕の殺人計画』- 誰にもバレない殺人方法とは?天才編集者、決死の頭脳戦!

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立花諒は、かつて数々のヒット作を世に送り出してきた天才ミステリー編集者。

担当作家の盗作疑惑によって部署異動となってしまい、近頃は仕事に熱が入らない日々を過ごしている。

そんな立花のもとに、「X」と名乗る人物から原稿の第一章が送られてくる。

「僕はあなたを殺します。決して、誰にもバレずに」という文章から始まるその物語は、まるで立花に対する殺害予告のようだった。

恐怖を覚える立花だったが、逆に興味も抱く。

第二章以降はどのような展開になるのか、自分は本当に殺されるのか、殺害計画を打ち破る方法はないのか。

ミステリーマニアとしての血が騒ぎ、立花はこの挑戦を受けて立つ。

ところが勝負は、立花と「X」の対決だけでは済まなかった。

その背後には、恐るべき殺人計画が秘められていたのだ。

大人気ホラークリエイター“やがみ”が描く、衝撃と戦慄の本格ミステリー!

目次

天才編集者VS殺人鬼作家

『僕の殺人計画』は、天才編集者・立花が、自身への殺害予告に挑むという本格ミステリーです。

面白いのが、殺害予告が原稿の様式となっており、しかも作者の「X」が、「誰にもバレずに殺す」と完全犯罪をほのめかしているところ。

さらに「殺されたくないなら推理してみろ」と挑発的なことも書かれており、立花は興味を持ってしまいます。

普通なら身を守るために警察に相談するべき案件ですが、立花は才能ある作家を愛する編集者であると同時に大のミステリーマニア。

「X」の文才や完全犯罪に対する圧倒的な好奇心に逆らえず、意気揚々と推理を始めます。

こうして天才編集者と殺人鬼作家「X」の頭脳バトルが勃発するのです。

ところが立花の周囲には、怪しい人物がゾロゾロ。

作家デビューを取り消しにされた西本ゆいを始め、投稿作品をボツにされた作家志望の大学生、立花が社内で教育している新人編集者などの小野寺などなど、「X」と思われる人物が複数います。

しかも揃いも揃って動きが胡散臭く、立花はもちろん読者も、その中の誰が「X」なのか気合を入れて絞り込みを始めます。

しかし、ここでまさかのビックリ展開が。

なんと「X」が自ら正体を明かし、「会いませんか?」と誘いをかけてきたのです!

コッソリ殺すと予告したくせに、堂々と会おうとするなんて、一体どういうことなのか。

罠か、はたまた別の目的があるのか、とにかく読者としてはめちゃくちゃ警戒しますよね。

なのに立花ときたら、これをチャンスと考えて逆に攻撃を仕掛けようとするので、読者は二重にハラハラ!

果たして、立花と「X」の勝負はどうなるのでしょうか?

闇が深すぎる殺人美学

実はこの物語、メインとなっているのは、立花と「X」の勝負ではありません。

二人の勝負が終わった後、さらに恐ろしい出来事が起こるのです。

立花のもとに、なぜか「X」ではない人物から、続きの原稿が届けられます。

しかも二人しか知らないはずの勝負の真相を全て知った上で書かれており、なんとも不可解。

「X」本人が書くのは、勝負の結果から考えると絶対にありえません。

とすると「X」の関係者がいるのか、それとも裏で手を引いている何者かが存在しているのか、謎は深まるばかりです。

とにかくここからが、『僕の殺人計画』の最大の見どころとなります。

数々の謎が散りばめられますし、それ以上に重要なのが「殺人における美学」です。

というのも、ミステリーマニアの立花にとって、殺人方法には強いこだわりがあるのです。

ただ単に人を殺すだけでは芸がなく、相応の知恵やテクニックが必須であり、特に自分が手を汚さずに人を殺すことを至高と考えているフシが立花にはあります。

そしてこの考えにより、物語は終盤にとんでもない展開を迎えます。

読者がここまでに把握していた内容が、どんどんひっくり返されていくような展開です。

衝撃を受けると同時に、あまりの闇の深さにゾッとしますよ。

そして最後まで読み終えたら、もう一度プロローグを読み返すことになるはずです。

プロローグでは、「立花」の家に警察が来て、彼が何らかの形で殺人事件に関与していることが告げられます。

被害者なのか加害者なのか、最初に読んだ時点ではわからないよう巧妙に書かれているのですが、読了後に再度読めばわかります。

彼は…、「立花」は、きっと…。

読み返した時、それが真のエンディングを迎える瞬間です。

大人気YouTuberならではの傑作

『僕の殺人計画』は、ホラークリエイターのやがみさんの初の著書です。

やがみさんはYouTubeで怖い話の動画を配信しており、チャンネル登録者数は75万以上。

やがみさんの動画は、音声や画像が効果的に編集されており、「トラウマになるほど怖い」とホラーファンに大人気です。

単に怖いだけでなく、時にユーモラスな皮肉も交えてあるところがまた魅力。

活動し始めの頃はネット上の怖い話を自分流にアレンジして動画にしていたそうですが、近年ではオリジナルを作成されているのだとか。

そのやがみさんが、本格的に筆を執って書き上げたのが、本書『僕の殺人計画』です。

さすが人気のYouTuber、物語の運び方や見せ方が巧みで、読み手をグイグイ引き込んでいきます。

ショッキングなプロローグから始まり、次に立花の編集者としての転落が描かれ、「X」との頭脳戦が始まり、読者は気が付けばクライマックスまで一気に読まされていることでしょう。

そしてそのクライマックスで衝撃的すぎる展開を迎え、読者はいてもたってもいられなくなり、プロローグまで戻ることを余儀なくされるのです。

いや~、上手い!読者を手の平で転がし続けるこの手腕は、YouTubeで数多くの視聴者を魅了してきたやがみさんならではでしょう。

やがみさんのファンの方はもちろん、ミステリーファンの方も、きっと唸らされながら楽しめる作品だと思います。

ぜひお手に取ってみてください!

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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