【第2弾】最高に面白い国内ミステリー小説おすすめ50選②

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今まで読んできたミステリー小説の中で特に面白かったおすすめ作品を50作品に厳選してご紹介させていただきます。

前回の記事『【殿堂入り】最強に面白い国内ミステリー小説おすすめ50選【名作選】』の第2弾的なものです。

前回もそうでしたが、今回も50作品に絞るのが大変でした。この国には面白いミステリー小説がありすぎます。

館モノ、密室、見立て、どんでん返し、バカミス、青春ミステリ、短編集、多重解決、ホラー、などなど、ミステリのジャンルは問わず、単純に「これは面白い」と思えた作品を選びました。

面白いミステリー小説が読みたい!という方の参考になれば嬉しいです(* >ω<)=3

※タイトル前についている数字はランキングではございません。ランキングをつけようと思いましたが、無理でした。

第一弾もぜひ。

目次

1.『ジェリーフィッシュは凍らない』

第26回鮎川哲也賞受賞作。2017年「このミステリーがすごい!」ベスト10作品。

6人の技術者を乗せた小型飛行船「ジェリーフィッシュ」の中で一人が死体となって発見される。

さらに「ジェリーフィッシュ」は暴走し、岩壁に囲まれた雪山へと不時着。そのまま動かなくなる。

そんな「雪の牢獄」と化した船内で、さらに悲劇が……。

帯に「21世紀の『そして誰もいなくなった』登場!」と書いてある通り、アガサ・クリスティの名作『そして誰もいなくなった (クリスティー文庫)』を彷彿とさせる展開は最高。

舞台設定だけでなく、ミステリとしてのクオリティも申し分ない名作です。

特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船“ジェリーフィッシュ”。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー六人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。

2.『闇に香る嘘』

幼い頃に生き別れた兄が日本に帰ってきたが、その時にはすでに主人公は盲目状態。

それから長い間、兄は実家で母親と暮らしていたが、とあるキッカケで「兄は本当に兄なのか」と疑い始める。

目が見えないので顔を確認できない主人公は、ありとあらゆる手段で兄の正体を探っていきます。

この作品のポイントは何と言っても「主人公が盲目」というところ。

この要素のおかげで想像以上に面白いストーリー展開となっており、謎解きの楽しさと共にスリルと恐怖を味わうことができます。

村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。

3.『告白の余白』

続いても下村敦史さんの作品。

実家に兄が急に帰ってきたと思ったら「土地を生前贈与してくれ」とお願いしてきて、いざ贈与が認められたら兄は自殺してしまった。

一体なぜ兄は自殺を?土地の生前贈与の意味は?という、”京都を舞台に”兄の自殺の真相を探っていく物語。

この「京都が舞台」っていうのがポイント。京都という特殊な場所ならではの面白いミステリが楽しめます。

そして最高の見所は「会話の全てが伏線」というところですよね。これが見事すぎて終盤は感動ものでした。

家を出た兄が実家の農地の生前贈与を求めて突然帰ってきた。しかし、「2月末日までに清水京子という女性が来たら土地を譲渡してほしい」という遺書を記し自殺。兄はなぜ死んだのか。そして、女は何者なのか。

4.『夢幻花』

大学生・秋山梨乃の祖父が何者かに殺されてしまう。

警察は行きずりの強盗殺人という線で捜査を始めるのですが、梨乃には不可解な点が一つある。

それは、祖父が育てていた黄色い花の鉢植えが庭から消えているということ。

あの黄色い花には一体何の秘密が?なぜ奪われた?という謎を巡った安定感抜群の東野ミステリーです。

花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。第一発見者の孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と真相解明に乗り出す。

5.『カササギの計略』

ある日、一人暮らしをしている大学生・岡部が部屋に帰ると、部屋の前に美女が座り込んでいた。

彼女はかつて交わした約束を果たすために会いに来たと言うが、岡部にそんな記憶はない。そしてそのまま奇妙な共同生活が始まる、というミステリー。

なんとこの作品「このミステリーがすごい!」大賞の隠し玉作品。

つまり、新人作家さんの作品を募集したノベルス・コンテストで受賞できなかった作品を編集部の推薦で刊行したもの。

それなのにまさかの面白さ。ぜひ「ホワイトどんでん返し」なるものを味わって見てください。

僕が講義とバイトを終えてアパートに帰ると、部屋の前に見知らぬ女がしゃがみこんでいた。彼女は華子と名乗り、かつて交わした約束のために会いに来たという。

6.『眼球堂の殺人』

周木 律(しゅうき りつ)さんによる「堂シリーズ」の一作目です。

狂気の天才建築学者が建てた「眼球堂」を舞台に、集められた人々が奇怪な殺人事件に巻き込まれるという王道のストーリー。

最初から最後の終わり方まで「これぞ本格ミステリ!」と言わんばかりの展開を味わえます。もうベタですわ。でもそれがいい。

私みたいな「王道のミステリが好き!」「館モノが好き!」という方にはピッタリな作品です。

ちなみにこれから読まれるのであれば、講談社ノベルスのものではなく講談社文庫さんから出ているものがおすすめ。

7.『ミステリー・アリーナ』

一攫千金の推理クイズ番組に参加したミステリマニアたちが繰り広げる「多重解決」ミステリー。

つまり一つの事件(問題)に対して、複数の探偵がそれぞれ異なった推理や犯人を示すというもの。

斬新なストーリー展開とテンポの良さ、伏線の回収はお見事。そしてさすがのミステリマニアたち。

ミステリー小説好きであればあるほど楽しめる、ちょっと特殊な面白さを味わえる作品です。これにはお手上げ。

全編伏線ともいえる「閉ざされた館の不可解な連続殺人」の真相を見抜く。早い者勝ち、「真相」が分かればいつでも解答可能の争奪戦。もちろん「あなた」も参加OK。

8.『聖母』

近所で発見された幼稚園児の惨殺遺体。その事件を知った主婦・保奈美は自分の娘を守る為、ある行動にでる。

暗黒女子 (双葉文庫)』で話題となった秋吉理香子さんによるどんでん返しミステリー。

「ラスト20ページ、世界は一変する。」というキャチフレーズ通りの衝撃を受けることができます。

ただ、この作品を読む前にあまり調べすぎないこと。レビューなどをたくさん見てるとたまにネタバレしてしまっているものがあります。

何も調べず、何も考えずに読むとより楽しむことができるでしょう。

幼稚園児が遺体で見つかった。猟奇的な手口に町は震撼する。そのとき、母は―。

9.『血の季節』

名作ミステリ『弁護側の証人 (集英社文庫)』でおなじみ、小泉喜美子(こいずみ きみこ)さんの幻の傑作がここに復活。

舞台は昭和。「とある事件の容疑者の過去の告白」という章と、「幼女殺害事件を捜査する警察」の章が交互に展開されていきます。

これだけだとありがちなミステリなのですが、この昭和時代の日本に「吸血鬼伝説」を取り込むことによって独特のホラーミステリーへと変貌を遂げるのです。

もちろんその設定だけでなく、ミステリとしても見事にどんでん返しが炸裂しています。

はたして結末はホラーかミステリか。

青山墓地で発生した幼女惨殺事件。その被告人は、独房で奇妙な独白を始めた。事件は40年前の東京にさかのぼる。戦前の公使館で、金髪碧眼の兄妹と交遊した非日常の想い出。戦時下の青年期、浮かび上がる魔性と狂気。

10.『夜よ鼠たちのために』

連城三紀彦(れんじょうみきひこ)さんによるどんでん返し短編集。

収録されている9編全てにどんでん返しが仕込まれているという贅沢な作品です。

もちろんどんでん返しだけでなく、そこに至るまでの過程も見事。一編一編の完成度が恐ろしく高いのです。

このことから、「短編ミステリーの完成系」とも呼ばれる名作。

脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が、白衣を着せられ、首に針金を巻きつけられた奇妙な姿で遺体となって発見された。なぜこんな姿で殺されたのか、犯人の目的は一体何なのか…?

11.『谷崎潤一郎犯罪小説集』

谷崎潤一郎さんらしさ満点の4編からなる犯罪短編集。

あの江戸川乱歩に影響を与えたほど、と言われるだけの完成度であり、雰囲気と世界観はやはり江戸川乱歩を匂わせるものがあります。

おどろおどろしい雰囲気のミステリといえば江戸川乱歩や横溝正史などの名前があがりますが、実はそれ以前にこれほどの作品が存在していたのです。

トリックやどんでん返しもさることながら、その卓越した文章によってグッと物語へ引き込まれていく。

仏陀の死せる夜、デイアナの死する時、ネプチューンの北に一片の鱗あり…。偶然手にした不思議な暗号文を解読した園村。殺人事件が必ず起こると、彼は友人・高橋に断言する。

12.『武家屋敷の殺人』

小島正樹さんによる「やりすぎ」「お腹いっぱい」でおなじみの本格ミステリ。

なにが「やりすぎ」かと言うと、一つに作品に謎やトリックやどんでん返しを詰め込みすぎているから。それも最初から最後まで。

一つ一つのネタを取ればそれだけで一つの作品が出来てしまいそうなのに、それを全部一つ作品に入れてしまうのはある意味でとても贅沢です。

奇妙な武家屋敷に蘇るミイラ、死体の瞬間移動に消失、そして新たな殺人。

ホラーとしか思えない謎も、しっかりミステリとして解決しているのも素晴らしい。

孤児院育ちの美女から生家を探してほしいとの依頼を受けた弁護士・川路。唯一の手がかりは、20年前の殺人と蘇るミイラについて書かれた異様な日記のみ。

13.『孤島の鬼』

江戸川乱歩の好きな作品をあげたらキリがないのですが、その中でも特に好きなのがこの『孤島の鬼』。

乱歩らしいホラーじみた不気味な雰囲気と完成度の高いミステリーのマッチングは、数ある乱歩作品の中でも格別です。

「江戸川乱歩の最高傑作」との呼び声も高い作品ですので、乱歩作品をまだ読んだことがない方もぜひお手にとって見てください。

自宅の密室で恋人を刺殺された蓑浦金之助は、彼女が残した謎の系図を手に、死の真相に迫る。何かに導かれるように向かった孤島で金之助を待ち受けていたのは、想像を絶する恐怖だった―。

14.『怪人二十面相』

続いても江戸川乱歩。

小説をあまり読まない方でも『怪人二十面相』という名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。

少年探偵団シリーズの第一弾であり、怪人二十面相と明智小五郎の対決を描いた不朽の名作でございます。

私が小学生の頃、学校の図書室にこのシリーズがあったので貪るように読んでました。懐かしいです。

その時から『怪人二十面相』は特に好きだったのですが、大人になってから読み返すとまた違った発見と驚きがあるとともに、改めて「面白い」作品なのだと確信しましたね。

……小学生の頃の私よ。聞いていますか?

あの頃は休み時間もあまり外で遊ばずに、読書ばっかりしていましたね。

部屋も本だらけでした。

そして大人になった今、もっとひどい事になっていますよ。

十年以上を経て突然帰郷した羽柴家の長男、壮一。折しも羽柴家には、ちまたで噂の盗賊「怪人二十面相」からロマノフ王家に伝わる宝石を狙った予告状が届いていた。

15.『アリス殺し』

玩具修理者 (角川ホラー文庫)』でおなじみの小林泰三(こばやし やすみ)さんによるミステリ。

「不思議の国」と「現実の世界」がリンクしており、「不思議の国」の住人が死ぬと「現実の世界」でもその住人に該当する人物が死んでしまう、という設定。

この設定ならではの仕掛けにはきっと騙されることでしょう。どんでん返しも効いています。

わたし、『不思議の国のアリス (角川文庫)』がすごい好きなんですよ。だからアリスの世界観でミステリをやってくれるのってそれだけで嬉しい。

ただ結構グロい描写があるので、苦手な方はご注意ください(ノω`*)

“不思議の国”の住人たちが、殺されていく。どれだけ注意深く読んでも、この真相は見抜けない。

16.『猫間地獄のわらべ歌』

読者に「そんなバカな!」と言わせてくれる、いわゆる「バカミス」の名作。

江戸時代を舞台にした時代小説ミステリで、密室やら見立て殺人やら読者への挑戦も楽しめちゃう実に本格的な内容。

しかし笑える。「ミステリ」としての面白さと「笑い」としての面白さを兼ね揃えた数少ない作品です。

真面目に読もうとしてはいけませんよ。肩の力を抜いてください。そして、驚愕してください。

江戸の下屋敷におわす藩主の愛妾和泉ノ方。閉ざされた書物蔵で御広敷番が絶命した。不祥事をおそれ和泉ノ方は“密室破り”を我らに命じる。一方、利権を握る銀山奉行の横暴に手を焼く国許では、ぶきみなわらべ歌どおりに殺しが続くと囁かれ!?

17.『空飛ぶ馬』

北村薫さんによる『円紫さん』シリーズ。その一作目にして、殺人の起こらない「日常の謎」ミステリの古典的名作です。

女子大生の「私」が身近で起きた謎を落語家・春桜亭円紫に話し、ヒントを提示してもらったり解明したり、という具合の連作短編集です。

ミステリとして面白いのは言うまでもなく、読後、非常に心に残る物語ばかりなのです。

また、シリーズを通して「私」が成長していく過程がなんとも素晴らしくて、ぜひシリーズ全作読んでいただきたい!ってなるのです。

女子大生と円紫師匠の名コンビここに始まる。爽快な論理展開の妙と心暖まる物語。

18.『霧越邸殺人事件』

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)』でおなじみ、綾辻行人さんの「館シリーズ」ではない館モノ。「館シリーズ」がお好きならぜひこちらの館も。

吹雪で道に迷った人々が霧越邸にたどり着くもそこで殺人事件が起きる、という実にミステリらしいミステリです。

綾辻さんらしさ満点の雰囲気で、雪に閉ざされた洋館、奇妙な住人、見立て殺人、などなど本格要素てんこ盛り。

そして何より霧越邸がとても魅力的で、綾辻さんの作品に登場する館の中でもかなり好きな館。本当に行ってみたい。

1986年、晩秋。劇団「暗色天幕」の一行は、信州の山中に建つ謎の洋館「霧越邸」を訪れる。冷たい家人たちの対応。邸内で発生する不可思議な現象の数々。見え隠れする何者かの怪しい影。

19.『氷菓』

米澤穂信(よねざわほのぶ)さんの代表作「古典部シリーズ」の一作目。

高校の古典部に所属する四人のメンバーを中心に、周りで巻き起こる「日常の謎」を解決していく青春ミステリです。

青春ミステリというジャンルの作品は数多く存在しますが、古典部シリーズはよくある青春ミステリとは一味も二味も違います。

青春ミステリを敬遠している方でも、一度読んでしまえば古典部シリーズならではの決して爽やかすぎない、ある種の「苦味」が残る物語に「あ、これは他の青春ミステリとは違う」と感じていただけるでしょう。

そして、このシリーズがなぜこんなにも評価されているかがお分かりいただけるはずです。

いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実──。

20.『満願』

2015年版「このミステリーがすごい!」で1位となった、米澤穂信さんによるミステリ短編集。

米澤さんといえば他にも『氷菓』でおなじみの「古典部シリーズ」や、ファンタジーミステリの名作『折れた竜骨』など面白い作品をあげたらキリがありません。

そしてこの作品に至ってもその面白さは変わらず。

一つ一つの短編に上質さとキレがあり、ゾクッとするホラーな雰囲気を漂わせつつオチも綺麗に決めています。

短編にしてこの読み応え。うぬぬ。さすが米澤さんです。

人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは―。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、美しき中学生姉妹、フリーライターなどが遭遇する6つの奇妙な事件。

21.『楽園のカンヴァス』

ルソーの絵画を巡った美術ミステリー。

スイスの大邸宅に招かれたティム・ブラウンと早川織絵は、ルソーの絵画「夢」の真贋を求められる。さらに、正しく判定した方にこの絵を譲るという。

制限時間は七日間。手がかりとなる謎の古書を読みながら二人は真贋を開始するが……。

この絵は本物なのか?どちらが勝つのか?この絵に隠された秘密は?などの謎以上に、この作品の壮大さとスリル、美術への情熱がすごくてグイグイ読まされました。

それでいて難しいことは全くなく、ルソーや美術に詳しくない人でも全く問題なく楽しめるのでご安心を(◍•ᴗ•◍)

ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。

22.『本陣殺人事件』

日本三大名探偵の一人・金田一耕助の初登場作品。つまりは「金田一耕助シリーズ」の一作目。

名探偵の初登場だから読んでいただきたいのではなく、ミステリとしてしっかり面白いから読んでいただきたいのです。

おどろおどろしい雰囲気を漂わせた本格モノの名作で、あのトリックには多くの方が驚愕した事でしょう。そしてその動機にも注目です。

まだ金田一耕助シリーズを読んだことがない方はぜひこの作品から。そして横溝ワールドにハマっちゃってください。

江戸時代からの宿場本陣の旧家、一柳家。その婚礼の夜に響き渡った、ただならぬ人の悲鳴と琴の音。離れ座敷では新郎新婦が血まみれになって、惨殺されていた。

23.『蝶々殺人事件』

横溝正史といえば「金田一耕助シリーズ」が有名ですが、こちらは「由利先生シリーズ」の第一弾。

金田一耕助と比べて知名度はやや劣りますが、このシリーズもとても面白いんです。

特に表題作『蝶々殺人事件』に関しては間違いなく傑作です。

今作で使用されたトリックはミステリ好きならば見ておかなくてはなりません。初見では唸ってしまいました。

さらに読者への挑戦も挟まれていたりと大満足な一作。

原さくら歌劇団の主宰者である原さくらが「蝶々夫人」の大阪公演を前に突然、姿を消した……。数日後、数多くの艶聞をまきちらし文字どおりプリマドンナとして君臨していたさくらの死体はバラと砂と共にコントラバスの中から発見された!

24.『真珠郎』

またまた横溝正史氏。『蝶々殺人事件』に続く「由利先生シリーズ」の傑作です。

美少年殺人鬼・真珠郎は殺人を繰り返す。という単純な物語に見えて、一癖も二癖もある「さすが」としか言いようがない内容。

全体に漂う陰鬱で怪奇的な雰囲気が美しく、まさに横溝ワールド全開の一作。そして読後感も格別。グッと心に残る。

「ミステリの枠に収まらない」とはこのような作品のことを言うのです。

鬼気せまるような美少年「真珠郎」の持つ鋭い刃物がひらめいた! 瞬間、凄まじい悲鳴を上げて展望台からころがり落ちた男。夕日が、血塗られた刀を一層赤く照らした……。休暇中の旅行先で私は恐ろしい殺人事件に巻き込まれた。

25.『刺青殺人事件』

横溝政治の「金田一耕助」、江戸川乱歩の「明智小五郎」と並び、「日本三大名探偵」の一人である「神津恭介」の初登場作品です。

つまりはミステリ小説の歴史に名を残す名作。

密室状態にある風呂場で胴体のない女の死体が発見された。なぜ胴体が消えたのか?刺青に隠された秘密とは?

謎が謎を呼ぶ前半、神津恭介登場によって一気にスピードが上がる後半。

一つ一つの謎が丁寧に論理に基づき解決されていく様は実に古典らしくて好き。

野村絹枝の背中に蠢く大蛇の刺青。艶美な姿に魅了された元軍医・松下研三は、誘われるままに彼女の家に赴き、鍵の閉まった浴室で女の片腕を目にする。それは胴体のない密室殺人だった―。

26.『不連続殺人事件』

坂口安吾(さかぐち あんご)さんの名作。

山奥の別荘に招かれた様々な人々が次々に殺されていく、という王道展開にしてあの見事な「心理トリック」はぜひ一見すべきです。

この作品、文章にクセがあり多少読みにくいし、登場人物がとても多くて(30人くらい)ややこしい。

なのに最後までグイグイ読まされてしまい、終いには面白いと言わざるを得ないのですから素晴らしいです。

登場人物の多さに関してはメモを取りながら読むとわかりやすいです。面倒くさいかもしれませんが、それも読書の楽しみなのですよ(*´ω`*)

戦後間もないある夏、詩人・歌川一馬の招待で、山奥の豪邸に集まったさまざまな男女。作家、詩人、画家、劇作家、女優など、いずれ劣らぬ変人・奇人ぞろい。

27.『黒いトランク』

鮎川哲也さんのミステリといえば、第1弾の記事で『リラ荘殺人事件 (角川文庫)』をおすすめしましたが、実はこの『黒いトランク』も読まなくてはいけません

電車の時刻表などを駆使した、いわゆる「アリバイ崩しモノ」の王道にして傑作です。

古き良き日本の本格ミステリーという感じで、古典ながらあのトリックには本当に感激しました。あれは見破れません。

ただ一つ、急いで適当に読んでしまうとその巧妙かつ複雑に練られたトリックに驚けなくなってしまうので、じっくりと理解しながら進めていきましょう。

時刻表とかアリバイ崩し系のミステリがあまり好きではない方も、この『黒いトランク』は是非とも読んでいただきたいのです。

汐留駅でトランク詰めの男の腐乱死体が発見され、荷物の送り主が溺死体となって見つかり、事件は呆気なく解決したかに思われた。だが、かつて思いを寄せた人からの依頼で九州へ駆けつけた鬼貫の前に青ずくめの男が出没し、アリバイの鉄の壁が立ち塞がる……。

28.『涙香迷宮』

「暗号ミステリの最高峰」とも言われる作品。2017年版「このミステリーが凄い!」で見事1位となりました。

IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久が、小説家・黒岩涙香の残した「いろは歌」暗号に挑戦します。

この「いろは歌」暗号が凄まじいのです。

この暗号を解ける牧場智久が凄いというより、著者の竹本健治さんが凄すぎて意味がわからないです。どうしたらこんな暗号を生み出せるのか。

私も数々の暗号ミステリを読んできましたが間違いなくトップクラスです。面白いを通り越してため息が出てしまう感じ。

もはや殺人とかトリックとかどうでもいいです。暗号だけで良いので見て欲しい。

明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのはIQ208の天才囲碁棋士・牧場智久!いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作る日本語の技巧と遊戯性を極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。

29.『ラバー・ソウル』

友人もいなく女性にも全く縁がない鈴木が、とある理由でモデルの女性に一目惚れし凄まじいストーカーとなる話。

一見ただのストーカー小説。鈴木はどう見ても悪い奴だし、ミステリで言えば犯人である。

だがしかし!最後のまさかの展開には呆然、見ていたものがグルンとひっくり返るどんでん返しを味わえる作品なのです。

幼い頃から友だちがいたことはなかった。両親からも顔をそむけられていた。36年間女性にも無縁だった。何度も自殺を試みた―そんな鈴木誠と社会の唯一の繋がりは、洋楽専門誌でのマニアをも唸らせるビートルズ評論だった。

30.『黒百合』

1952年の夏、六甲の地で少年少女たちが繰り広げた淡い思い出。

「なんだ、ミステリというより青春小説っぽいな」なんて油断していた私は、最後の展開でガツン!と思いっきり頭を殴られることになりました。

しかし、この作品の見事なところは決して「衝撃のラスト」だけではないのです。

少年と少女の淡い恋心、甘酸っぱい青春描写や夏を感じる雰囲気だけでも一つの小説として面白い。

青春小説としてもミステリとしても驚愕できてしまう作品なんです。

六甲の山中にある、父の旧友の別荘に招かれた14歳の私は、その家の息子で同い年の一彦とともに向かった池のほとりで、不思議な少女・香と出会った。

31.『千年の黙 異本源氏物語』

平安時代を舞台に、『源氏物語』でおなじみの紫式部を探偵役とした歴史ミステリ。

同じ日本ながら時代が違えば情景も視点もいろいろ変わってきます。

そこが余計に面白く終始ワクワクしながら読みました。

ミステリとしてだけではなく、「平安時代の物語」としてしっかり読ませてくれる面白さがあります。

しかし私自身、平安時代について全くの無知。けれど逆にそのおかげで新鮮に感じる事ができ、紫式部という人物がとても好きになってしまった。本当にこんな人だったらすごくいいなあ。

歴史に興味がない方でもご安心を。この作品を読めば間違いなく平安時代や紫式部に興味が出てきてしまいますよ(ノ*’ω’*)

帝ご寵愛の猫はどこへ消えた?出産のため宮中を退出する中宮定子に同行した猫は、清少納言が牛車に繋いでおいたにもかかわらず、いつの間にか消え失せていた。帝を虜り左大臣藤原道長は大捜索の指令を出すが―。

32.『凶笑面』

民俗学者・蓮丈那智を探偵役とした「蓮丈那智フィールドファイル」シリーズの一作目。

その蓮丈那智が民俗学に絡めて事件を解決していくのですが、「民俗学」という要素を取り入れることによって他にはない独特のミステリへと仕上がっています。

民俗学が全く分からなくても、このシリーズを読めば「民俗学ってこういうものか」と知らないうちに勉強できちゃうので心配なさらず。

また内藤三國という助手をつけることによって、ミステリの王道「ホームズとワトソン」の関係を楽しめるのが良い。

暗き伝承は時を超えて甦り、封じられた怨念は新たな供物を求めて浮遊する…。那智の端正な顔立ちが妖しさを増す時、怪事件の全貌が明らかになる。

33.『大誘拐』

誘拐モノの大傑作。

大富豪のおばあちゃんを誘拐し、100億円もの身代金を要求する3人の誘拐犯。

なんとスケールのでかい悪質な犯人なんだ……!と思いきやまさかまさかの展開に。

ユーモアたっぷりの奇想天外なストーリーで、笑って楽しちゃうエンターテインメント作品なのです。

誘拐の緊迫感とユーモアの混ざり具合が絶妙で、ただ楽しいだけなくミステリとしてもお上手。文句なしの面白さです。

三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには―早い話が誘拐、身代金しかない。

34.『11枚のとらんぷ』

泡坂妻夫(あわさか つまお)さんらしい奇術ミステリの名作。

とあるイベントの奇術ショーで、登場するはずだった女性が登場せず自宅で死体となって発見される。死体の周りには奇妙な品物の数々が。

この作品ちょっと変わった形式をしており、この『11枚のとらんぷ』という作品の途中に「11枚のとらんぷ」という小説集が挟まれているんです。いわゆる作中作ってやつです。

で、この作中作「11枚のとらんぷ」自体も実に面白い。

構成をいうと、1部で事件が起きて、2部で作中作「11枚のとらんぷ」が書かれていて、3部が解決編という感じ。

「どんだけ伏線あるの!」と言いたくなる程の伏線回収は圧巻ですし、そのトリックも見事。

完全に「奇術」が主役のミステリー。

真敷市立公民館で開かれた奇術ショウ。“袋の中の美女”という演目の直前、袋から出てくるはずの水田志摩子が、姿を消した。「私の人生でも最も大切なドラマが起こりかかっている」という言葉を遺して―。

35.『しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術』

ミステリ好き、いえ、読書好きならこの作品は読んでおかなくてはなりません。

いったいどれほどの人がこの作品に驚愕し、読書の楽しさを再確認したのでしょうか。

他のミステリー小説にある「どんでん返し」とはまた種類の違う驚愕。お見事としか言いようがありません。

どんでん返しに慣れている方でも、この仕掛けには「すごい!」と思わず声に出てしまうことでしょう。

このネタバレだけは絶対にしてはいけませんよ。

二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体“惟霊講会”。超能力を見込まれて信者の失踪事件を追うヨギガンジーは、布教のための小冊子「しあわせの書」に出会った。

36.『金雀枝荘の殺人』

今邑彩(いまむらあや)さんの館モノの名作。

かつて密室殺人事件の起きたこの場所で、過去に起きた事件を解決しようと集まってきたいとこ達に再び悲劇が。

古い洋館を舞台に、連続殺人、見立て、密室などを取り入れ、オチも綺麗に決めてくれる正統派ミステリ。

ただただシンプルに面白い本格ミステリです。館モノが好きなら読んでいただいて間違いなし。

完全に封印され「密室」状況となった館で起こった一族六人殺しの真犯人は、いったい誰だったのか。事件から一年後、真相を探るべく館にやってきた兄弟たちは推理合戦を繰り広げる。

37.『虚無への供物』

日本三大奇書のひとつ。

ですが他の二作、夢野久作『ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)』、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』と比べてはるかに読みやすいのでご安心ください。普通にミステリとして読めます。

物語の前半に繰り広げられる推理合戦は見事で、「奇書と言われているのにしっかりミステリじゃん!」と安心したのを覚えています。

しかし読み終わった頃には、この作品がただのミステリ小説ではなかったことが分かります。これはミステリの為のミステリなのです。

一体なぜこの作品が「アンチ・ミステリーの金字塔」などと呼ばれるのか。その理由をぜひその目に。

昭和29年の洞爺丸沈没事故で両親を失った蒼司・紅司兄弟、従弟の藍司らのいる氷沼家に、さらなる不幸が襲う。密室状態の風呂場で紅司が死んだのだ。

38.『吸血の家』

二階堂 黎人(にかいどう れいと)さんによる《二階堂蘭子シリーズ》の二作目。

シリーズ一作目『地獄の奇術師』も面白いのですが、ミステリとしての完成度はこちらの方が上かと。

今作は、ジョン・ディクスン・カーの名作『三つの棺〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』をリスペクトして書かれた「密室」をテーマとした作品です。

というわけでこの『吸血の家』を読む前に、カーの『三つの棺』を読むことをおすすめします。

『三つの棺』は海外ミステリの中でも絶対に読んでおきたい名作ですので、どちらにせよ読んでおいてまず間違いありません。

もうすでに読んでいるのであれば、ぜひ『吸血の家』をお楽しみください(●´∀`●)

江戸時代から遊廓を営んでいた旧家にもたらされた殺人予告。かつて狂死した遊女の怨霊祓いの夜、果たして起きた二つの殺人事件。

39.『人狼城の恐怖』

続いても二階堂黎人さんの《二階堂蘭子シリーズ》。

ずばりこの作品、世界最長のミステリー小説なんです。

綾辻行人さんの『暗黒館の殺人(一) (講談社文庫)』より長いです。気をつけて下さい!

第一部「ドイツ編」、第二部「フランス編」、第三部「探偵編」、第四部「完結編」の全四部作からなる壮大な物語です。覚悟して読みましょう。

「こんなに長くて途中で挫折しないかな」と不安になるかもしれませんが、とにかく面白いので途中でやめさせてくれません。読んでみればわかるのですが、思った以上に読みやすいんです。

あんなに長い物語だったのに気がつけば完結編、「ああ、もう終わってしまう!」と寂しさが残るのです。

もちろん長いだけでなくミステリ小説としてもしっかり面白い。第四部「完結編」で明らかになるあのトリックはぜひ目にしておきたいところ。

そして読後、謎の達成感に浸るのです。

独仏国境の険しい渓谷の上に屹立する双子の古城・人狼城。ドイツ側“銀の狼城”に招かれた十人の客に用意されていたのは、凄惨な殺しの宴であった。

40.『腐葉土』

東京大空襲や関東大震災を生き抜き、資産家となった老女が老人ホームで殺害された。彼女の過去には何があったのか。なぜ殺されたのか。

長めの物語で最初は読みにくい印象を受けますが、老女の過去が明らかになっていくたびにどんどん物語へ引き込まれていきます。

特に東京大空襲、関東大震災のシーンは怖いくらいリアルに伝わってきて手に汗握ってしまいました。

とても重厚な物語で、気軽にサクッと、という感じにはいかないですが、その分ミステリー小説としての読みごたえは凄まじいです。

濃厚な読書時間を過ごしたい方はぜひ。

笹本弥生という資産家の老女が、高級老人ホームで殺害されているのが見つかった。いつもお金をせびっている孫の犯行なのか?

41.『ルパンの消息』

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)』などの警察小説でおなじみの横山秀夫(よこやま ひでお)さんによるミステリ。

15年前に起きた女性教師の墜落死事件。時効まであと24時間という時に、あの事件は殺人だった、というタレコミが入る。

高校生3人によって行われた「ルパン作戦」とは。あの3億円事件との関係性は。

ミステリ小説であり青春小説であり。どちらにとっても完成度が高いです。

特に後半の怒涛の展開と伏線回収は圧巻ですね。本当にページをめくる手が止まりません。

警察小説ってなんか苦手、という方こそ読んでみて!(●ゝω・)ノ

十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人―。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。

42.『スロウハイツの神様』

辻村深月(つじむらみづき)さんの名作。

クリエイターの卵たちが暮らすアパート「スロウハイツ」で繰り広げられる青春ミステリーですが、ミステリー小説というより青春小説として素晴らしいのです。

青春小説の中にほのかにミステリを漂わせた、という感じですね。

ストーリーそのものが美しく、前半で巻かれた伏線が後半で丁寧に回収されていく気持ちよさは格別です。

読後感もすごく良いので、後味悪いミステリを読んだらぜひこの作品で気分転換を。

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ―あの事件から十年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。

43.『サマー・アポカリプス』

笠井潔(かさいきよし)さんによる「矢吹駆シリーズ」の2作目。

このシリーズは他のミステリー小説とは一味違う作風で、いわゆる「哲学・思想」的なものが存分に盛り込まれているんです。

そのため「読み手を選ぶ」と言われるのですが、特にこの2作目「サマー・アポカリプス」はミステリー小説としても傑作ですのでぜひ読んでおきたいところ。

「ヨハネ黙示録」「見立て殺人」「古城」に「密室」などなど、本格ミステリとしてのワクワク要素満載のストーリーです。

灼熱の太陽に喘ぐパリが漸く黄昏れた頃、不意にカケルを見舞った兇弾―その銃声に封印を解かれたかの如くヨハネ黙示録の四騎士が彷徨い始める。

44.『斜め屋敷の犯罪』

第1弾の記事を書いた時、なぜか「作家さん1人につき2作品まで」という謎ルールを作ってしまったために漏れてしまった島田荘司さんの名作。

タイトル通り、斜めに傾いている屋敷で起こる殺人事件に名探偵・御手洗潔が挑みます。

御手洗潔シリーズの2作目となっており、順番でいうと『占星術殺人事件』→『斜め屋敷の犯罪』→『異邦の騎士』です。ぜひとも順番にお読みください。

そしてあの壮大なトリックにびっくり仰天しましょう。

北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館―通称「斜め屋敷」。雪降る聖夜にこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見された。

45.『奇想、天を動かす』

御手洗潔シリーズでおなじみの島田荘司さんによる「吉敷竹史(よしきたけし)シリーズ」。

「吉敷竹史シリーズ」は「御手洗潔シリーズ」に比べ知名度は劣るものの、間違いのない傑作が存在し、『奇想、天を動かす』はその一つ(もう一つの傑作は『北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)』)。

たった12円の消費税によって引き起こされた殺人事件。あっさり解決かと思われたが、完全黙秘を続ける老人に対し捜査一課の吉敷竹史は不信感を覚える。

本格派と社会派の見事な融合をみせる今作。

まさに「奇想」と呼ぶにふさわしいトリックもさることながら、圧倒的に引き込ませる物語に加え、なんとも言えぬ読後感には感動すら覚えます。

浅草で浮浪者風の老人が、消費税12円を請求されたことに腹を立て、店の主婦をナイフで刺殺した。だが老人は氏名すら名乗らず完全黙秘を続けている。この裏には何かがある。

46.『重力ピエロ』

伊坂幸太郎(いさかこうたろう)さんの名作です。

兄の泉水と弟の春が、連続放火事件の犯人を推理していく。

テーマは重いものの、読みやすい文章と先を気にさせるストーリー展開で一気読みしてしまうほど面白いです。

撒き散らされた伏線が丁寧に回収されていく様は本当にお見事で、ミステリの枠を超えた小説として素晴らしいなあと心から思います。

伊坂さんの作品はなんでこうも毎回面白いのでしょうか。

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。

47.『六枚のとんかつ』

おバカ100%のミステリ短編集。

はたして、この作品をおすすめしていいのかとかなり悩みました。おすすめする人物の人間性が問われます。

とにかくお下品だしくだらない。しかし、次から次へとぐいぐい読んでしまう面白さを誇るのです。

本格ミステリばかり読んでいると疲れてしまうので、たまにはこのような作品で息抜きしましょう。

個人的には「必読」レベルの作品だと思っています(・∀・`o)

『メフィスト賞』第三回受賞作。大笑いか激怒かっ!?決して読む者の妥協を許さぬ超絶アホバカ・ミステリの決定版、遂に登場!

48.『写楽殺人事件』

「写楽に興味ないし、歴史ミステリってなんか読む気がしないな」なんて思っていた時期が私にもありました。

この作品を読むまでは。

正体不明の謎の浮世絵師・写楽の謎を背景に起こる殺人事件を描きます。

写楽とは何者なのか?という謎だけでも魅力的でワクワク感が半端ないです。

写楽を全く知らない方も、前半は勉強として楽しんでいただけると思います。

また、島田荘司さんの写楽ミステリ『写楽 閉じた国の幻〈上〉 (新潮文庫)』も読むとなお良し!

ああ、写楽よ。あなたは一体誰なのですか……。

謎の絵師といわれた東洲斎写楽は、一体何者だったか。後世の美術史家はこの謎に没頭する。大学助手の津田も、ふとしたことからヒントを得て写楽の実体に肉迫する。

49.『ユリゴコロ』

読んだ後に嫌な気分になる「イヤミス」でおなじみの沼田まほかるさん。

というわけで、この『ユリゴコロ』もイヤミスとしてよくオススメされていたりします。

しかし私は、イヤな感じとはまた別の、イヤなはずなのになぜか胸を打たれる不思議な読後感に包まれました。

何も考えずに読めばラストの展開にもかなりの衝撃を受けることでしょう。

イヤミスとしてではなく、純粋に面白いミステリーとして強くおすすめの作品です。

ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題された4冊のノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。この一家の過去にいったい何があったのか―。

50.『点と線』

松本清張『点と線』。タイトルも著者の名前も聞いたことがあるけれど、実は読んでいないという方が意外に多い作品。

わかりますよ。昔の作品だし、難しそうだし、硬そうだし、読みにくそう、って感じがしますよね。

ところがどっこい!

実際読んでみると、まさかの読みやすさと物語の面白さにビックリすることでしょう。

電車や飛行機の時刻表を駆使した「アリバイ崩し」を軸とする、今もなお色褪せぬ名作です。

犯人が仕組んだ情死偽装トリック。容疑者には鉄壁のアリバイが…。

あとがき

というわけで、今回は「最高に面白いおすすめ国内ミステリー小説」をご紹介させていただきました。

こんなに長い記事を最後まで読んでいただいたことに感謝いたします。

ぜひ、第一弾の記事と合わせて参考にしていただければと思います。

それでは、良い読書ライフを!(* >ω<)=3

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。
ミステリー小説が大好きです。

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